泥迷
――1つ、2つ、命が途絶える。
轢かれて、落ちて、沈んで、吊って、刺して、呑んで
思考の螺旋の中、延々と出られないまま、また絶える、酷く見慣れた人物が、何度も何度も。
生が散る間際に暗転する視界。
また、死を追想する。
自分を殺して、殺し続ける。数は、もう分からない。そうする事が精神安定に繋がると信じて。
勇気を出せる訳でも無く、今を変えようと動ける訳もない。
漠然と募っていく自分への嫌悪と、全てを投げ出したくなる厭世に、目を逸らす為に何度も何度も、飽きもせずに。
また――――――――――――
意識が浮上して、暗い部屋に戻る。
湿った空気、ぬるくなった温度が、媚びるように体に纏わりつく、なおざりに机上に置かれた錠剤、微かなカーテンの隙間から月光が見える。
見慣れた部屋、見慣れた光景。
錠剤を手に広げる、出来るだけ沢山。この現実から逃げ出すためなのか、はたまた、思考の行く末を延ばすためなのかは、もはや分からない。
喉を通る角張った感触を無視して、液晶からさす青い光を浴びる。作用するまで、規則性を持って、スクロールを続ける。
意識が遠のく感覚に身を委ねる。明日の不安と、微かな諦観を持って、沈む。
その間際に脳裏を過ぎたのは、自分が落ちる所だった。
これから訪れる数瞬の安息の明けには、変わらない景色が広がってると分かってる。
それでもいい。
纏わりつく来世を求める切迫感と過去の罪に囚われ
何度も思考を重ね
先に進めず、耽るように「今」からの逃避をする。
いつか。
自死をもってしても足りないそれは、安らげずに目を覚ます。
その先でも、飽きずに追想のぬかるみに足を取られ続ける。行動も出来ないままに、何度も、死を模索する。
明日も、また先も、仄暗い死の泥中を迷い続ける。
それが、謝罪や後悔ではなく、ただの自分への慰めと肯定だと知らないままに。
疲れる




