第4夜 福神漬け大臣、いつもそばに
カレーの王様のお城には、とてもまじめで、でもすこしおっちょこちょいな福神漬け大臣がいる。
あまりにおっちょこちょいすぎて、自分の福神漬けをつまんで食べてしまうこともある。
夜の城で、王様は黙ってスプーンを見つめていた。
今日の勝負で、星の王様に少し差をつけられたのだ。
「……くやしいな。光では、どうあがいても勝てない。」
ぽつりとこぼれた声は、湯気のように弱かった。
そこへ福神漬け大臣が近づき、赤い一粒をそっと添えた。
「王様。光らない味には、光る味には出せない“あたたかさ”があるものです。」
王様はスプーンをにぎりしめる。
「……あたたかさ、ね。」
そのとき、リュウが夜を切って飛んできた。
「王様!今日のカレー、ちゃんとあったかかったよ!
ぼく、胸の奥がじんってしたもん!」
その言葉に、王様の呼吸がすこしだけ変わる。
大臣も穏やかに続けた。
「星は照らす役目です。しかし、王様は“戻る場所の味”をつくるお方です。」
王様の胸の火が、静かに灯りなおす。
「……そうか。
光らなくてもいい。だれかをあたためる味でいればいい。」
その言葉は、王様自身の心をそっとほどいた。
リュウがうれしそうに回る。
「うん!王様がいると、夜があったかいんだ!」
大臣は王様の肩にそっと福神漬けを置いた。
「はい、味、整いました。」
王様は夜空を見上げた。
星の王様の強い光も、リュウのほそい尾も、遠くで揺れている。
「よし。あしたも、この味でいこう。」
三つの光は夜へ舞い上がり、今日もどこかの心をあたためていきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
仕事でも家でも、「今日ちゃんと頑張れてたっけ?」と思ったり「みんなの前できらきらしてたかな?」なんて、つい気にしたりもします。
大人も子どもも迷うけど、安心して帰る場所があれば、まあなんとかなるもんです。そんな気持ちが伝わればいいなって思います。
MMPP.key-_-bou
2025/12/20 スピンオフ……「番外夜 福神漬け大臣 VS らっきょ近衛騎士」を追加してます。
もし良かったら、こちらもよろしくお願いいたします。




