第2夜 ちいさな流れ星リュウ
今夜も王様は、ひとりで歩いていました。
磨ききれずに濁ってしまった光が、また落ちているからです。
「今日は、ずいぶん多いな……」
少しつかれた声でつぶやいた、そのとき。
ぴゅん、ぴゅん。
子どもの笑い声のような光が近づいてきました。
「ねぇ、王様! なにしてるの?」
声の主は、昨日王様の頭の上を通りすぎた、小さな流れ星でした。
ふわっと跳ねる尾が、子どものように揺れています。
王様はびっくりしました。
「……夜のおしごとだ。危ないから、あまり近くに来ては――」
「やだ! みたい! だって王様、きょうの光はかなしいよ!」
王様の手が、すこし止まりました。
「かなしい光って、どんな光だ?」
「うーんとね……がんばってるのに、『がんばってる』って言えない光!」
王様は息をのみました。
誰にも見せたことのない光を、小さな流れ星だけが見抜いたのです。
胸の奥にしまっていた痛みが、ふっとゆるみました。
リュウはくるりと回って言いました。
「王様、ないてもいいよ?ぼくね、だれかの涙の光、けっこう好きなんだ。だって――がんばったひとだけが出せる光だから!」
王様の目から、静かにひとすじの光がこぼれました。
それは空へゆっくりと昇り、ひとつの星になりました。
リュウは嬉しそうに跳ねました。
「ほらね! 王様の涙、すっごくきれい!」
王様はすこし笑って言いました。
「誰にも見せられない涙ほど、星になれば強く輝くものだ。」
リュウはぴかぴか光りながら、王様のとなりをくるくる回ります。
「ねぇ王様! また来るね!だって、王様ががんばってる夜を、ちゃんと見ていたいんだ!」
王様は静かにうなずきました。
「……ああ。来てくれると助かる。そなたが来ると、夜が明るい。」
リュウは空へかけのぼり、空の奥にもうひとつ、短い光を描きました。
王様はその光を見上げながら、胸がすこし軽くなるのを感じました。




