第7話 バイト頑張っちゃうぞ!神様
新しい話も書いてるので昨日投稿できませんでしたごめんなさい
「んー、でも私ひとりでも意外と回れますよ!」
「ほんとかい?」
「はい!こういうの得意なんです!」
「いやぁ~助かるよ、ありがとう宙さん!」
「待ってください!」
來人が叔父さんに食ってかかるように声を上げた。
「その量をひとりでこなすなんて無理があります!それに、人件費がかかるからって他の人を雇わないのはやめましょうよ!」
その必死な様子を見た天空神は、何かを思い立ったように、突然行動を始めた。
「見てください、叔父!」
「……ほう。なんということだ……」
天空神は、箒を持って神社の掃除をテキパキと済ませると、すぐさま事務作業に入り、お守りやグッズを売る販売対応まで高速でこなしていた。
「神職歴20年、完敗じゃ……」
「たしかに、あの子がいれば他の人いらないかもしれない。なんだ、あのスピードは……」
⸻
「どうでした?」
『ありがとうございます!師匠!!』
その日から、叔父と來人は天空神のことを「師匠」と呼ぶようになった。⸻
翌朝――
「おはようございます、師匠……って、あ!翔くん!」
「え?あの人、なんで神様のこと“師匠”って呼んでるの?神様、何かしたの?」
「んー……わからん」
そのとき――神社に怒声が響いた。
「ちょっとどうなってんのよ!!」
「……誰だ?」
「お客さんかな……」
「師匠、助けてくれませんか!」
「どうしたんですか?」
「さっきのお客さんが、学業のお守りを買ったのに、受験に落ちたって怒ってるんです……」
「え?受験? 今、5月ですよ?」
「どうやら、海外の高校だったらしくて……」
「……分かりました」⸻
「どうされたんですか?」
天空神が声をかけると、女性客は怒りを露わに訴えてきた。
「ここの学業守りを買ったのに、娘が受験に落ちたのよ!」
「……もうやめてよ、お母さん!」
「真美子……」
「私、恥ずかしいよ……。お母さんがいろんな神社でお守りを買いまくったからでしょ。この神社は関係ないよ!」
「真美子ちゃん」
天空神がゆっくりと真美子に歩み寄る。
「……なんですか?」
「お姉ちゃんが、魔法かけてあげるね」
「えっ……?」
そう言って天空神は、そっと真美子をハグした。
「……ありがとう、ございます……」
真美子は、ぼろぼろと涙をこぼしながら、天空神に抱きついた。
⸻
「……神力を使ったのか?」
「違うよ。あれは神力じゃないわ」
「……」
「きっと、あの子は“居場所”が欲しかったのよ」
「やっぱり、さすがだな。神様」
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