第6話 天空神さん、、赤点です
パンより米派です
タイトルにもある通り、私は赤点を取りました」
「タイトルって……それより復習しよう。社会は赤点取らなかったけど、それ以外は全滅なんだからな」
「はーい……」
「神様は社会得意なのか?」
「なんで?」
「いや、てっきりギリギリ40点とかだと思ってたんだけど、地理も歴史も80点台だったろ? これは伸びるぞと思ってな」
「伸びる?」
「ああ。決めた、神様は一個ずつマスターしていこう! ゆっくりでいい。ちゃんと伸びるさ」
「翔……ありがとう!!」
感動してうるうるしてる天空神をよそに、翔が時計を見る。
「そういえば今日、バイト10時からだろ? 行かなくていいのか?」
「えっ……わああ! 本当だ! 遅れちゃう〜! でも勉強〜〜〜〜!!」
「勉強なんていつでも教えてやるよ」
「ありがとう! じゃあバイト行ってくるー!!」
バタバタと部屋を飛び出そうとする天空神を、翔の母が呼び止めた。
「ちょっとちょっと! 天空神ちゃん、これ! うちの正式な巫女服よ。今日、叔父さんから届いたの!」
「翔母! ありがとう!」
「なかなか似合ってるじゃない? 可愛いわよ〜」
「ありがとう翔母!!」
「……って、盛り上がってるところ申し訳ないんだけど、そろそろ行ったほうがいいんじゃないか?」
翔が気まずそうに言うと、天空神はようやく気づいた。
「あっ、そうだった! 行ってきまーす!!」
ドタバタと出ていった後、翔の母がぽつりと呟く。
「……なんか、一気に静かになったわね」
◇ ◇ ◇
「来ました! 叔父さん!」
「やあ、宙さん。巫女服、気に入ってもらえて嬉しいよ」
「その子、新人?」
隣にいた青年が声をかけてきた。
「そうだよ。少し前から働いてくれてる宙さん。高校2年生だよ」
「よろしく」
「よろしく! 名前なんていうの?」
「三成 來人だよ」
「來人くんか! それじゃ、質問してもいい?」
「なに?」
「私以外の巫女さん、いないの?」
「……あ、うん」
急に目をそらす叔父さんと來人くん。
「……実はね、最近ここで働いてた巫女たちがみんな辞めちゃったんだ。食中毒や事故や病気が続いて……“ここは不幸がくる”って噂になっちゃってね」
叔父さんが少し寂しそうな顔で話してくれる。
「ちなみに……何人?」
「10人。巫女だけでね」
「じゅっ……10人!? そんなに一気に辞めていったんですか!?」
叔父が小さくうなずいた。
「早く新しい子を見つけないと……!」
「……來人」
來人が焦るように言うのを、叔父が考え込むような表情で受け止める。
「早く見つけてしまえばいいのに……」
……おっと。失礼、心の声が漏れてしまいました。
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