第3話 神様中間試験勉強しましょう
4時半。鳥のさえずりすらまだ寝てるような時間帯に、俺の部屋に神とは信じ難い少女の声が響いた。
「翔!!」
「……なんだよ、こんな時間に」
「これ、何?」
「……ああ、それ体育祭のプリントか。昨日配られたやつだな」
「たいくさいって何のこと?」
「……え、君って神様だよな?」
「そうだけど?」
「いや、なんていうか……もうちょっと常識あるのかと思ってたよ。体育祭知らないとか……まぁ、ギャップってやつか」
「だから、“たいくさい”って何?」
わざわざそんな話をするために朝4時半から叩き起こされる俺。たまったもんじゃないけど、ちゃんと説明してあげるあたり、我ながら優しいと思う。⸻
「ごはんできたわよ~!」
「翔母!うまっ!」
「ふふっ、ありがとうね~」
天空神の存在のおかげか、うちの母は朝から妙に機嫌がいい。ちょっと羨ましいくらいだ。⸻
「もう8時だ! 行かないと!」
「行ってきまーす!」
玄関で、俺と天空神の声がぴったりハモる。なにこれ恥ずかしい。⸻
「学校、着いたな」
「今日は“たいくさい”の話、するんでしょ? あかぐみとしろぐみ?とかのやつ!」
「疑問符、多すぎな」
そんな会話を交わしながら、教室に入る。⸻
「おはよう、宙ちゃん、翔!」
「お、桜か」
「もう! 待ってたんだから!恋バナしましょー!」
「……なんで?」
(神様の学校生活も、だいぶ慣れてきたっぽいな。最初は心配だったけど……この調子なら、まぁ大丈夫——)
そう思った矢先。⸻
「へっくしょん!!」
宙のくしゃみと同時に、近くにいた男子生徒がふわっと30センチほど浮いた。
「……お前、今浮いてなかったか?」
「え?」
その瞬間、俺の顔から血の気がサーッと引いていくのが分かった。
(……やっぱダメかもしれん)⸻
「はーい、みなさん席についてー。ホームルーム始めまーす」
先生がいつものテンションで教壇に立つ。
「今日は体育祭について……と言いたいところなんだけど、残念なお知らせがあります」
「えー、やだー!」
「なんと、今年は体育祭の前に中間試験が追加されました」
「はぁ!? ふざけんな! まだ5月だぞ!? 普通6月だろ!」
教室中からブーイングが飛び交う中、先生は淡々と続ける。
「実はね、7月に予定してた期末試験を6月末に前倒ししたの。だから、それに合わせて中間試験も5月末にやることにしました」
「ってことは、体育祭は?」
「6月中旬です。それまではしっかり勉強してくださいね~」⸻
「……おい神様、大丈夫か?」
俺が小声で聞くと、天空神はにっこり笑って答えた。
「試験ってテストでしょ? 大丈夫。天界でもやったことあるもん」
「マジか。どんな試験だったんだよ?」
「星を作って、人や動物を生み出す試験!」
「レベル違ぇぇぇぇぇ!!!」
もうダメだ。この神様、人間界の教育制度に向いてない。ていうか、進化論がバグる。
「言っとくけど、赤点取ったら追試だからな? ちゃんと勉強しろよ?」
ナレーションーーー
さぁどうなる中間試験!!天空神は赤点を取り追試かぁ?翔と天空神2人とも頑張れ!赤点取っても元気だしてね!
ーーーーーー
「翔ー!追試って何?」
「赤点とったやつが受けるやつだな。まぁ頭が余程悪くなければ赤点にはならないよ」
「私、まだ本試も受けてないんだけど!? 勝手なこと言うなよーー!!!て言うか誰だよ!ナレーションか!?」
「どうしたんだよ神様、、ナレーションって何?」
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