第25話 記憶
これは――少々、時間をかけすぎたようだ。
「!?」
頭の中に直接響く、冷たい声。
その瞬間、凄まじい重力のような力が襲いかかり、天空神たちは右方向へと強引に引き寄せられた。
視界がぐにゃりと歪み――気がつけば、そこにはもう誰の姿もない。
双子の堕天使も、狂気に囚われたピンク髪の女も。
残されたのは、ただ沈黙だけだった。
「……なんで、私……ここにいるんだろう?」
天空神の小さな呟きに、平和神の表情が凍りつく。
(……まずい! 天空神の記憶が……ない!?)
その言葉に、平和神は息を呑む。
天空神の体は血に濡れ、傷だらけだ。それでも――彼女の瞳はどこか澄んでいた。
「天空神……お前、今まで何をしていたか覚えてるか?」
そう問うと、天空神は一瞬考え込み、そしてあっけらかんと答えた。
「ん? 学校に行って……翔と喧嘩して……あんたと晩ご飯の買い物に行ったくらいじゃない?」
「……」
平和神の心臓が、嫌な音を立てる。
(……まさか、戦いの記憶だけ抜かれてる!?)
ついさっきまでの死闘も、吐血も、堕天使の策略も――彼女の中には存在していない。
「なぁ、天空神……痛くはないか?」
「え? 何でそんなこと聞くの? 私、どこも……」
言いかけたその瞬間、腹部から鮮血が滴り落ちた。
天空神自身は驚いた顔で、ただその赤を見つめる。
「……あれ? なんで……?」
「……っ、やっぱりか……!」
平和神は拳を強く握りしめる。
敵の狙いは――天空神を「核」として保ちつつ、戦いの記憶だけを封印すること。
つまり、本人には「自覚なく戦わせる」ための布石。
(……これが黒幕の狙い……! 天空神をただの駒に変えるつもりか!)
そこに創造神が現れる。
「天空神!!天界会議を始めようとしたんだけど1度貴方は世界に帰りなさい」
創造神が微笑む。
「分かりました!ところでなんで私は血だらけなんですか?」
「、、、覚えてないんですか?さっき転んでたじゃない!」
「・・・そっか!!じゃあ翔の所に戻るね!」
天空神が空から降りると創造神は他の神達に言った。
「今から緊急会議をしましょう」




