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第2話 巫女バイト初日

初日


「おいクソ女、そこが汚れてるわよ。しっかり巫女しなさいよ!」


神社の境内に、聖夜神のキツい声が響く。


「相変わらず口が悪いな、聖夜神。ちゃんとやってるってば!てか!あんた何!?姑か!?」


ほうきを動かしていた天空神は、ため息をつきながら答えた。


「はっ……クション!」


その瞬間、手を滑らせたのか、神力が暴発した。次の瞬間、拝殿がごっそりと吹き飛ぶ。


「うわあぁ……神社吹き飛ばしちゃった……」


「何やってんだよ、神様……」


翔が頭を抱える。


「うるさいっ、翔!」


「もう学校行くから。帰ってくるまでに直しといてね!」


「……ガッコウ?」


「勉強するところだよ」


「待って!」


そう言って天空神は、思わず翔の手を引いた。


「ちょっ、おわっ!?」


引く力が強すぎて、翔は勢いよく10キロ先まで吹き飛ばされた。


ーーーー5時間後


「……ごめんな」


翔が泥だらけで帰ってくる。


「戻ってくるの大変だったんだからな……気づいたら5県も先だったんだぞ!学校も今日は半日だからもう終わってるな。」


「ごめんね翔」


「で、何の用だったんだよ?」


「私、ガッコウに興味ある。行きたい!」


翔は目を丸くした。


「……マジ? 君、神様だよね?」


「うんっ!」


その時、聖夜神が割り込んできた。


「朝からなにやってんのよ、クソ女」


「何お前ちゃっかりここに住みやがって、聖夜神……」


そこに、翔の母が現れた。


「今日は無理だけど、明日からなら連れていってもいいわよ」


「マジで!? こいつ行かすの!? 学校吹っ飛ぶかもしれないぞ!?」


翔が青ざめると、天空神はにこりと笑って一言。


「何?文句でもあるわけ?翔 月まで飛ばされたい?」


「……え。でも住む家どう住んだよ神様」 


「あら!それならうちでいいんじゃない?」


翔の母はニコニコしながら食い気味に答える横で翔の顔の色が徐々に人間とは思えないくらい真っ青になっている。


「翔具合悪いの?なおそっか?」


そんな純粋な天空神の質問に声にならない声で喉から奇声を発していた。

──翌朝。


「翔! セーフクってこれで合ってる?」


天空神が制服姿で現れた。


「ああ、それ……って、それ男子の制服だよ!」


「え……ガーン……」


制服に着替えた天空神はスカートの感覚に慣れないのか、足をもじもじさせていた。


「なんだこれ……足スースーする……」


「我慢しろ。それが制服だ。」


(そういえば神様と会った時確かロングワンピースだったな、、、)


そんな事を翔が思い出している横で天空神は相変わらずモジモジしていた。


「セーフク……翔もセーフク?」


「ああ、俺もだよ」


翔母しょうはは!ガッコー行ってくる!!」


「待ちなさい! バッグは?!」


「バック……?」


「……だめだこれ」


 


──学校に着くと、早速トラブルは起きた。


「皆さんに転校生を紹介します。天野 宙さんです!」


(あいつ、偽名考えたのか……?)


「て、てん……あっ……天野宙あまのそらです! よろしくお願いします!」


ぎこちない挨拶にクラスメイトたちはざわつく。


「どこから来たの?」


「えっと……実家はゴットメルリアンバナト島……」


「……どこ?」


「……空」


「……あ、うん……そーなんだ……」


微妙な空気が流れる中、クラスの一人が声をかけた。


「ねぇそらさん! 朝、翔くんと一緒に登校してたけど、付き合ってるの?」


「つきあう? 何に?」


「もう〜しらばっくれないでよ〜! 私にはお見通しなんだから!」


くねくねと迫るのは、クラスメイトの桜。


「いや、別に何もないぞ?」


「え〜、そうなの? つまんな〜い」


空気が和みかけたその時。


(……うわ、舌打ちした男子いる……)


天空神は、周囲の雰囲気に気づきながらも、ふと翔の笑顔を見つめた。


「翔はイケメンだし、頭もいいし、人気なのよ〜」


と、桜が続ける。


「イケメン……? 雰囲気じゃなくて?」


「うん、相当だよ?」


──天界では“普通”の顔も、人間界では“イケメン”に分類される。翔もそのパターンだった。


「……バッカみたい」


休み時間。天空神はつぶやいた。


「学校、疲れた。明日から行かない」


「はぁぁぁ!? 何言ってんだよ!? 手続きしたんだからな!? これから1年通ってもらうからな! 行かないと留年だぞ!」


「わたし、神だから別に大丈夫」


(……そうだった。こいつ天空神だった……忘れてた)


翔は深いため息をつくのだった。


一方、その頃――天界の深淵にある鳴海箱の間。


重々しい空気が漂う中、創造神が手にした一通の手紙が静かに揺れていた。


「創造神様、どうされますか?」


側近の声に、創造神は拳を握り締めながら激しく言い放つ。


「言えるわけがないだろう!あんなに楽しそうな天空神を、私は今まで見たことがない!」


「しかし、この手紙には……」


「そんなものはデタラメに決まっている。宣戦布告の口実に過ぎないのだろう!」


創造神の眼光が鋭く光る。


「5000年ぶりの大戦争……あの堕天使たちの復活だな」


静寂を破って、低く険しい声が響いた。


「堕天使よ、お前たちは何を考えているのだ?神を陥れるなど卑劣な悪魔め。


言えるわけがないんだよ天空神が落とされた世界が仮想世界なんて


神が罠にはまったなんて」


鳴海箱の闇が、怒りと決意に震えた。


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