第18話 アンロック
2章
アムは肩をすくめ、笑う。
「ホントにヤバいよね、この子。もう左目潰れてんのに立ってんだもん」
「さすが神ってこと? まぁ、ここで終わりだけどさ」
エルスが背後に回り、首筋に手を添えた――殺すつもりだ。
──その瞬間。
空気が、止まった。
いや、空気“ではない”。
世界の“時間”が、一瞬だけ沈黙したのだ。
「……あれ?」
エルスの手が動かない。
(違う。俺の身体が……動いてない?)
「っ……!? 重い……何これ……!」
重圧。
その場にいるだけで“心が裂けそうになる”ほどの力。
立っていた天空神の眼が、ふたたび見開かれた。
潰れていたはずの左眼に、青く宝石のように綺麗な瞳が宿っている。
「…………今かなあれを使うときは」
静かに、ゆっくりと、天を見上げるように呟いた。
「ありがとう。双子堕天使。私に天空神を思い出させてくれて。」
⸻
【解放】──神格展開・第零式》
──天が、割れた。
空に走る光の筋。
その中心に立つ、完全覚醒した天空神。
服はボロボロのままだが、
その身を包むのは、かつて五大神の中でも“唯一、上位神界とリンクできる”とされた力――
《時間干渉》
《天の制御》
《次元跳躍》
「な……にこれ……っ!?」
エルスがよろけ、アムは吐き気を堪える。
「こんな……こんな重圧、人じゃない……神じゃない……!」
天空神が、そっと手をかざす。
「全ての座標、固定完了。
エリア:空域座標『T-SKY#0』展開」
空間が、逆回転する。
天と地が入れ替わり、上下左右の概念が溶けていく。
逃げる術は、ない。
「君たちは……私を怒らせたわね」
その声には、もう痛みも苦しみもなかった。
ただ、静かに“制裁”の意志だけがあった。
⸻
【奥義】──《天葬・絶雷輪》発動
天から降るのは、雷ではない。
時間そのものを切り裂く、“概念の刃”。
「消えなさい。名前も、記憶も、存在も」
エルスとアムの双子の術式は、一瞬で分解された。
“未来予測リンク”すら、発動する前に断ち切られた。
「やば……本物だ、こいつ……!」
「逃げろ……逃げr──」
──瞬間、世界が光に呑まれた。
⸻
◆ ◆ ◆
「……終わったかしら」
静かに着地する天空神。
血まみれの体だが痛みは感じていなかった。
天空神は、縛り上げた双子堕天使を見下ろし、指先で小さく光を弾いた。
鎖のような光が絡みつき、二人の力の流れを完全に封じ込める。
「……これでよし。数百年はただの飾りだね」
その言葉と同時に、足元の空間がわずかに揺らぎ、薄いひび割れが走る。
上空の亀裂から、灼けるような赤い光が漏れた。
『……時間がないな』
創造神の声が低く響く。
テレパシーが復旧したようだ。
『天空神……? 今のはまさか……』
「うん、少しだけ……あれ使った」
『……お前が“少し”なら、世界が壊れるわけだ』
天空神は、少しだけ笑った。
「向こうの戦線が崩れかけてる?」
『ああ。聖夜神が魂の封印を維持しているが……敵の【虚空剣】が干渉してきている。あの剣は“存在の概念”ごと削る。長くはもたん』
天空神は表情を引き締め、亀裂の向こうを見据えた。
そこには、天界と魔界の境界が赤黒くうねり、まるで生き物のように脈動している。
「創造神、先に行って。私はまだ残ってる神力を安定させないと」
『……一人で来られるのか?』
「誰に向かって言ってるの?私が“天空神”だよ」
「ところでこいつらの処分どうしようか?」
「うーんもう動けないなら適当に縛っといたらどうだ?」
「わかったー!にしても5000年ぶりの力……思い出したわ。あの頃の戦いと、痛みと、私の矜持」
「早いな 君は自分で自分の事を封印していたからね。思い出してくれて嬉しいよ」
「うん。それよりみんなは?」
「分からないよ。テレパシーは使えるがそれぞれ異空間に閉じ込められているからね。今天使軍と堕天使軍が大戦争を起こしている。事前に魂は聖夜神が回収しているがいつまで持つかわからん。私たち早く敵を倒し一刻も早く戦場へ向かおう。」
「分かりました。」
その頃仮想世界の翔は、、
「うーわっ大雨じゃん。雷もすごいし、、晴れるといいな。神様全然帰ってこないなぁ。今のうちにノートまとめとこー。」
※落雷は天空神の天翔爆雷のせいだよ




