収穫の別れ目
彼は一人で種を蒔く
耕された畑地を一人で
過ぎ去った過去よりも
これから訪れる未来を良くするために
「不毛なことだ」と周りから嘲笑れても
「意味のないことだ」と言われても
それでも彼は蒔くことを諦めない
蒔いた種がきっかけとなって
良い未来を刈り取れるためなら
「気にしない気にしない」と言って
彼は一人で種を蒔き続けていく
夏に蒔いた種は、秋にしっかりと根を張っていく
凍える冬を越すために
ひっそりとしっかりと
春に咲き誇る時を夢見ながら
天からの雨が恵みとなって地を潤していく
彼は一人で種を蒔いている
次の収穫の未来を見据えて
周りは「無駄だ」と嘲笑うけども
「そんなことない」と言って
彼は気にせず種を蒔いている
嘲笑う周りと黙したまま蒔いている彼
報いの稲穂はどちらを選ぶか
「雪降る夜は何を見ている」と言われたら
「収穫の春を夢想している」と切り返す
とある賢人は呟くように語る
「種、それは望んだ未来のための最良の一歩
彼、それは望んだ未来を刈るとるもの」
間を置くように黙してから
再び語り出す
「苦労を謳う者は、真の苦労から逃げている
苦労を噛み締める者は、経験を得る努力者になる」
双子の人形は語るように歌う
「何故、人は楽をして良い報いを得ようとするの」
「苦労なくして楽は得られないのにね」
長い長い冬は過ぎて、春が訪れた
蒔いた種は立派な稲穂を産んで
その報いはすべて種蒔き人である彼に向かう
良い報いを受け刈ったのだから
彼を嘲笑っていた者たちは
彼を無駄だと言っていた者たちは
悪い報いを受け刈った
「何故、これだけなんだ……」
「あいつだけあんなに貰って……」
彼を妬んでももう無駄だ
日々の糧を十分に存分に
得られたのだから
彼から報いを奪おうとしても
彼の主たちは彼を守る
主たちに敵した者たちは
その報いを身に受けた
「おい、お前たち、何をしている?」
「ひぃ!? 主さまだ!」
「む? なんだその反応は? もしや、盗もうとしたのか?」
「ご、ごめんなさいぃ!!」
「お許しくださいぃ!!」
「今よりもさらに苦労をするべきだ!!」
良き刈り手はきちんと先を見据えて
悪しき刈り手はその場しか見ない
主たちはきちんと見ている
優れた種蒔き人を
少年は歌うように口ずさむ
「もうすぐもうすぐやって来る
収穫の時がやって来る
良いものはさらに良くなり
悪いものはさらに悪くなる
差がどんどん開いてくる
埋められない差が次々と
芽吹いた種はもう抜けない
気づいた時には大木さ
斧で切り落とせれない大木さ
鋸でも切り落とせれない
とてもとても楽しみだ
正しさの証明が選ばれて
決められるんだからね」
《終》