心の傷 被害者の仮面と加害者の仮面
1
わたしを怒った風に睨む貴女の目つき
放たれた言葉は、言い張りに等しい内容
よくわからないわたしは、こちらに非があると思い、謝ったのだけれど
貴女は被害者の仮面をつけて
わたしに加害者の仮面を無理矢理につけさした
その時わたしは
貴女のせいで
心に傷を負わされた
2
内容をわたしなりに推理してみると
わたしに多少の非があるのだが
貴女の非も見つかった
貴女の非は
錯覚したこと
錯覚したことを解らずに
近くにいたわたしを犯人だと
加害者だと思い込み
自分は被害者の仮面をつけて
わたしの心を踏みにじった
3
自分は正しいと思う貴女
わたしが悪いと言い放つ貴女
貴女はあの状況をよく考えた?
偶然の舞台に錯覚の光が
貴女の頭上に降り注ぎ
近くで一人
踊っていたわたしに
牙を剥いた
4
心に傷を負わされたわたしは
眠り続ける
負わされた傷を癒すために
安眠の巣に横たわる
いつか
貴女に被らされた
加害者の仮面を
自らの意志で引き剥がし
貴女の被る
被害者の仮面を
引き剥がし
己が罪を認める瞬間――とき――まで
5
安眠の巣の中で視る夢は
わたしが貴女の非を問いただし
貴女の非を認めさせる夢
弱気なわたしには何も出来ないと思うけれど
叶うように勇気を出して
貴女にわたしの出した真実を
伝えよう
それこそが
わたしの望みであり
貴女の罪の贖罪なのだから――
《終》