支配者
『支配者』は魔王ナトに勝ってしまったばっかりに『支配者』に不名誉な読みを与えられてしまう。
正直めちゃめちゃ悔しかった。
負けたことは今までにたくさんあったがこれほどまでに圧倒されたのは生まれて初めてだったからだ。
実はあの戦闘中には様々な罠を仕掛け、ばれないように多彩な攻撃を仕掛ける予定だったのである。
あの宰相すらもこれで一度だけ膝をつかせたのにムトには全く効かなかった。
むしろこっちも周囲に多数のわなを仕掛けられ防御中にも結界を破壊する魔法を的確に破壊する必要があったのだ。
あれほど緻密な魔法戦もまた初めてだった。だからこそ生まれて初めて悔しいと思ったのだった。
それからというもの「再戦だ!」と俺は毎日彼女に戦闘をねだるようになった。彼女も彼女で付き合ってくれるので毎日のように俺等は戦い合った。
…ところで魔族には強き者に従うと言う考えがあり、勝負で負けた場合はなんでも言うこと聞くらしい。
らしいと言っている通り分かると思うがそんな義務は全くない。
確かに一般的に魔族は強者に従う性質があり、そのおかげで魔王国が成り立っている。
しかしそれは義務ではないのだ。だからこそ魔王国は日夜、下剋上を求めて暗殺が耐えない。
兎も角、そのデマが原因で級友達はナトへのお願いはムトを通せば聞いてもらえると思い込むようになり、やがてナト関連の事は全部ムトに任せようと言う風潮が広まった。
結果ムトはナトの保護者のような扱いになってしまったのだ。
そしてついに彼女はコントローラーと呼ばれるようになった。そう。『支配者』ではなく、魔王を操る『支配者』ある。