第17話 (3/5)
彼は懐中電灯をその存在に向けた――
そして、それが人間であることに気づいた。
ローブをまとった人物だった。
その者が近づくと、ゆっくりとフードを下ろし、捕えた獲物をよく見ようとした。
フレームは息をのんだ。
見覚えのある顔が、フードの下から覗いていた。
「リサレ……?」
「フレーム?」彼女は驚きの表情を浮かべたまま、じっと彼を見つめた。
視線が彼の服に縫い付けられた紋章――雪の結晶に移る。
リサレは歳を重ねていた。
もはや子供ではなく、立派な女性へと成長していた。
それでも、フレームは彼女の面影を一瞬で見抜いた。
白い髪は肩を遥かに超え、太もも近くまで届くほどの長い編み込みになっていた。
フレームはすぐに言葉を返せなかった。視界が滲む。
まさか、彼女と再び会える日が来るとは――それはまるで奇跡のようだった。
涙に声を詰まらせながら、彼は告げた。「生きていてくれて、本当に……よかった……!」
リサレも言葉を失っていた。
呆然としたまま、彼を瞬きしながら見つめ、口を開きかけては閉じ、再び開き――
そして、ようやくひとこと。
「……ああ、そう。」
そう言うと、彼女は網を解き、彼を罠から解放した。
彼は彼女の額を見つめた。「どうして……角がなくなってるんだ?」
リサレは気まずそうに目をそらした。「わからないの。」
そして、小さな声で尋ねた。「あなたは……ここで何をしてるの?」
フレームは片手を髪に通し、後ろへとかき上げた。
額にできた膨らみが、もう隠れることはなかった。
その症状を見た瞬間、リサレの表情が変わった。「ふざけた……!」
怒りに満ちた彼女は、勢いよく近くの木に向かい、一発蹴りを入れた。
乾いた衝撃音とともに、数枚の葉が舞い落ちる。
「俺は、ここで静かに過ごすために来たんだ。」フレームは慌てて言った。 「死ぬ前に、君に会えてよかったよ! ずっと、君が生きていてくれることを願ってたんだ!」
リサレは振り返った。「喜んでる場合じゃない!」
鋭く息を吐き出しながら、一歩、また一歩と彼に詰め寄る。
気づけば、彼女はすぐ目の前にいた。
彼女の紫色の瞳に滲む涙の光が、はっきりと見えた。
「私が生きてるのは、ただ……治療法があったからよ。」