表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/218

第17話 (3/5)

 

 彼は懐中電灯をその存在に向けた――

 そして、それが人間であることに気づいた。

 ローブをまとった人物だった。

 その者が近づくと、ゆっくりとフードを下ろし、捕えた獲物をよく見ようとした。

 フレームは息をのんだ。

 見覚えのある顔が、フードの下から覗いていた。

「リサレ……?」

「フレーム?」彼女は驚きの表情を浮かべたまま、じっと彼を見つめた。

 視線が彼の服に縫い付けられた紋章――雪の結晶に移る。

 リサレは歳を重ねていた。

 もはや子供ではなく、立派な女性へと成長していた。

 それでも、フレームは彼女の面影を一瞬で見抜いた。

 白い髪は肩を遥かに超え、太もも近くまで届くほどの長い編み込みになっていた。

 フレームはすぐに言葉を返せなかった。視界が滲む。

 まさか、彼女と再び会える日が来るとは――それはまるで奇跡のようだった。

 涙に声を詰まらせながら、彼は告げた。「生きていてくれて、本当に……よかった……!」

 リサレも言葉を失っていた。

 呆然としたまま、彼を瞬きしながら見つめ、口を開きかけては閉じ、再び開き――

 そして、ようやくひとこと。

「……ああ、そう。」

 そう言うと、彼女は網を解き、彼を罠から解放した。

 彼は彼女の額を見つめた。「どうして……角がなくなってるんだ?」

 リサレは気まずそうに目をそらした。「わからないの。」

 そして、小さな声で尋ねた。「あなたは……ここで何をしてるの?」

 フレームは片手を髪に通し、後ろへとかき上げた。

 額にできた膨らみが、もう隠れることはなかった。

 その症状を見た瞬間、リサレの表情が変わった。「ふざけた……!」

 怒りに満ちた彼女は、勢いよく近くの木に向かい、一発蹴りを入れた。

 乾いた衝撃音とともに、数枚の葉が舞い落ちる。

「俺は、ここで静かに過ごすために来たんだ。」フレームは慌てて言った。 「死ぬ前に、君に会えてよかったよ! ずっと、君が生きていてくれることを願ってたんだ!」

 リサレは振り返った。「喜んでる場合じゃない!」

 鋭く息を吐き出しながら、一歩、また一歩と彼に詰め寄る。

 気づけば、彼女はすぐ目の前にいた。

 彼女の紫色の瞳に滲む涙の光が、はっきりと見えた。

「私が生きてるのは、ただ……治療法があったからよ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ