第16話 (3/4)
その8年前
年は14,597年、
嵐のシーズン60日目。
「俺の名前はオミオ・パブロン!そして、俺は君と結婚する!」輝く灰褐色の瞳を持つ少年は、ブラックウォーター家の後継者に紹介されると、堂々と宣言した。「俺は体力抜群、スポーツ万能、器用でイケメン、頭脳明晰、そしてもちろん、謙虚だ。」
「……俺はドン引きしてるけどな。」園香の隣に座っていた少年が、冷めた声で言った。
オミオは眉をひそめた。「お前、誰だよ?」
「ウェザロン・スタージスよ。」園香が代わりに答えた。「ごめんね、でも私、彼と結婚するつもりだから。」
「なにぃ!? こんなピエロみたいな顔のやつと!?」オミオが憤慨して叫ぶと、園香は思わずクスクス笑った。
「は、肌の血色がいいだけだろ!」ウェザロンは恥ずかしそうに鼻を手で隠す。「これはな、健康の証拠なんだよ!」
「私はその鼻、かわいいと思うよ。」園香が微笑むと、ウェザロンの顔が一気に真っ赤になった。
すると、オミオはゆっくりと園香に近づき、腕を彼女の肩に回すと、小声で囁いた。「もし何かあったら、園香。いつでも俺のところに来いよ。」
ウェザロンが勢いよく椅子から立ち上がった。「いい加減にしろ! 手をどけろ!」
オミオは素直に手を下ろし、少し距離を取った。「はいはい、落ち着けって。」腕を後ろで組み、気楽そうに言う。「園香が決めればいいだろ?」自信に満ちた笑みが彼の唇に灯り、それを彼女へと向けた。 「数年後には、どっちを選ぶか決まるさ。ウェザロンのままでいいなら、それで俺は構わない。でも……」オミオはスタージスの方を向き、言葉を続けた。「……もし違ったら、お前も受け入れろよ。」