第15話 (5/5)
二人乗りで、園香とオミオは彼の狩猟竜の鞍に跨り、雪に覆われた地表の山々を越えて飛んでいた。
パブロンさんはこれまで何度も彼女をここへ連れてきて、一緒に星を眺めたことがあった。だが、今日ほど遠くまで飛んだことはなかった。
太陽が頭上から容赦なく照りつけ、スーツに内蔵された加熱装置の効果を打ち消していく。
彼らは連なる山脈を越え、果てしなく広がる雪原を超え、氷河を渡り、凍りついた湖を横切った。
定められた狩猟区域の境界を越え、何時間も飛び続けた。
やがて、モンスター猟師たちの最果ての拠点をかすめたそのとき——
ついに、見つけた。
「……信じられない。」園香は、かすれるような声で呟いた。
三基の風車が、天空にそびえ立っていた。
その塔は、まるで氷竜の首のように長く、回転するローターは、その翼のように巨大だった。それらは絶え間なく回り続ける。
白い樹脂製の機体が、雲の間に溶け込むように巧妙にカモフラージュされていた。だが、今日は晴天だった。
そして——それ以上に衝撃的だったのは、地面だった。
そこは……呪われたように緑だった。
「氷を……溶かせるの?」園香はマスク越しに息を吐いた。瞬間、シールドが曇る。フィルターが湿気を排出した後も、目の前には、なお草原が広がっていた。
——幻想なんかじゃない。
オミオは狩猟竜を降下させた。
風力発電の施設に近づくにつれ、園香の心臓は激しく打ち鳴った。
彼らは氷の大地に着陸しようとした。
狩猟竜の爪先が雪をかすめるや否や、園香は鞍から滑り降り、勢いよく飛び降りた。
興奮したまま、彼女は緑の空き地へと駆けていった。
その地面から、巨大な塔がそびえ立っている。
彼女は白く覆われた斜面を滑り降りた。
——そして、その足が草に覆われた大地に触れた瞬間、園香は膝をついた。
手を地面に押し付ける。
指先を土に沈め、手袋越しにこぼれ落ちる茶色い土の粒を見つめた。
本当に、氷を溶かしたのか——
信じられない思いで、園香は顔を上げた。
頭上では、ローターが太陽の光を受け、漆黒の影となって回転していた。
オミオはその間に狩猟竜を繋ぎ終え、アイスグライダーを蹴り出して雪の斜面をジャンプし、宙でボードを脇に抱えながら、軽やかに着地した。
「どうやら、風車の話は本当だったみたいだな。」そう言いながら、彼は周囲を見渡した。
氷の壁が、緑の草地を額縁のように囲んでいた。
よく見ると、園香は草の間に色とりどりの小さな花を見つけた。
マーガレットより少し小さく、楕円形のギザギザした葉はオークの葉に似ている。
園香は草をかき分け、一輪を摘み取った。親指と人差し指の間で花の頭をくるくると回す。
八枚の白い花弁が、黄色い房のような雄しべの王冠を囲んでいた。
可愛らしい——だが見たことのない花だった。
彼女は無意識にウェザロンの母を思い出した。
ビエラなら、この花を知っているはず。
急いでいくつかの茎を引き抜き、花束にしてスノースーツのポケットにしまい込んだ。
「ウアアアア!」鋭い叫び声が空気を引き裂いた。
警戒しながら、園香とオミオは身を起こし、辺りを見回した。
しかし、誰の姿も見えない。
——そのときだった。
草むらの中から、小さな影が飛び出し、透き通るような羽を広げて一直線に向かってきた。
それは、矢のように真っすぐ飛ぶ。
細い矢の茎ほどの大きさしかないその身体は、紫色の肌に光沢があり、まるでシロップの膜で覆われたようだった。手足は華奢で繊細。顔は人形のように整っているが、異様で、恐ろしく、そして——危険な存在。
妖精だった。
信じられない速さで、モンスターが二人に襲いかかる。
口を開けると、再び耳をつんざくような悲鳴が響いた。
「ウアアアア、ウアアアウアアア!」
あまりの音の鋭さに、二人は思わず耳を塞いだ。
すると、さらに別の妖精たちが草むらから次々と飛び立った。
そして、彼女たちも叫び始める。
「ウアアアア、ウアアアウアアア!」
耳を劈くその声が、鼓膜を突き抜け、脳を締め付けるように響く。
あまりの痛みに、園香は頭が割れそうになった。