第12話 (6/7)
目を覚ましたエンギノは、自分がどこにいるのか不思議に思った。そこは彼にとってまったく見慣れない場所のようだった。
彼はイエティと戦ったばかりだった。モスと一緒に怪物に向かって飛んでいった。それが彼の最後の記憶だった。
頭蓋骨が鳴り、額から血が滴り落ちた。誰かに襲われたに違いない。
彼はその影で自分に近づいてくる人影に気づいた。その影は人間離れしていた。
その生き物は雲のように地上に浮かんでおり、手足は翼で構成されていた。鼻はなく、目のあるべきところに羽が生え、その下から尖った犬歯のある白い唇が飛び出している。それは本物の天使だった。
エンギノはこれまで野生の生物を見たことがなかった。檻の外では非常に危険な獣だった。
彼は自分のふくらはぎに目をやったが、武器はどこにも見当たらなかった。
その代わり、目の前には折れた氷柱が転がっていた。
その鋭い先端なら十分だろう。
彼はためらうことなく、その氷の破片を手に取り、羽を持つ生き物に襲いかかった。
天使のように全身が防護用の翼で覆われているため、攻撃できる箇所は限られていた。
しかし、エンギノはその弱点をすべて把握していた。そして彼が狙ったのは喉だった。
その怪物は血を流しながらその場に崩れ落ちた。
エンギノはその動けなくなった隙に、氷の洞窟をくまなく探し始めた。どこかに自分の持ち物があるはずだった。しかし、目に入るのは凍りついた壁とポンポンの花だけだった。
その時、ジリッという音が響いた。
エンギノは耳を澄ませた。
一瞬のうちに、さらに2体の天使が壁の穴から飛び込んできた。彼らはポンポンの花でできた柔らかい巣の上に着地し、いくつかのふわふわした花が舞い上がった。
エンギノは戦闘態勢に入り、モンスターたちに向き合った。
天使たちは一瞬だけ視線を死体に向けた後、1体が唸り声を上げ、彼に向かって突進してきた。その牙を喉に突き刺そうとしていた。
しかし、エンギノの方が速かった。彼は素早く身をかわし、鋭い氷柱を天使の首元に突き刺した。
それだけで十分だった。その羽を持つ生き物は床に音を立てて崩れ落ちた。
もう1体の天使は怯え、来たときの穴から逃げ去っていった。
「どうせそのうち捕まえてやる。」 とエンギノは思い、目から頬を伝い落ちた血を舐め取った。
彼は倒れたモンスターたちに目もくれず、その場を踏み越えて出口を探し始めた。周囲を詳しく観察すると、1本のトンネルを発見した。
エンギノはその滑らかな氷の迷宮をさまよい続け、次の洞窟にたどり着いた。
静かに彼は入口へと忍び寄り、戦闘の準備を整えていた。そこには小さな天使が浮かんでいた。
エンギノは背後からそれを襲い、喉をかき切った。
モンスターは陸に上がった人魚のように激しくのたうち回った。
次の回廊に進むと、エンギノはある部屋を発見した。そこには彼の2丁の武器だけでなく、山のような装備品が積み上がっていた。ピストル、テントのシート、衣服、電気ストーブなどが天井まで積み上がっており、部屋全体が埋め尽くされていた。
それらを目にしたエンギノは呆然と立ち尽くした。それらが示している事実――自分がこの巣に連れ去られた最初の猟師ではないという証拠――に言葉を失った。
彼は自分を落ち着かせるために頬を軽く叩いた。そして素早くサンダーガンと装備品を手に取り、トンネルをさらに奥へ進んだ。
すると、あの天使が仲間を呼んだのか、突然何十体もの天使がエンギノに向かって突進してきた。
エンギノはピストルを構え、目の前に現れる天使たちを次々に電撃で仕留めた。
モンスターの翼同士が触れるたび、一度の攻撃で複数の天使を同時に倒すことができた。
どのモンスターも彼に近づくことはできなかった。エンギノは巧みに攻撃をかわし続けたからだ。
ついに、エンギノは自分の家名にふさわしいことを証明する時が来た。
最後の天使の死体を乗り越えた後、彼はついに出口を見つけた。
泉から湧き上がる水蒸気が、空へと立ち昇っていた。ここから外へ飛び立てる。
エンギノはポケットからドラゴンホイッスルを取り出し、力強く吹き鳴らした。
もし25がまだ生きていれば、必ず来るはずだった。
狩猟竜がホイッスルの音に従わなければ、容赦ない電撃が襲う仕組みになっている――そんな苦痛を自ら進んで受け入れるモンスターなどいるわけがない。
エンギノはじっと待った。苛立ちながら足で地面をトントンと鳴らし、静かな空を見つめた。そして――遠くに小さな点が現れた。
それを見てもエンギノは驚かなかった。狩猟竜はとても頑丈な生き物だ。来ない方が不思議なくらいだった。
その乗用モンスターは水蒸気を突き抜けて降下し、地面に着地した。
エンギノは素早く鞍に飛び乗り、手綱を通じて25に軽い電撃を与えた。するとすぐに動き出した。
彼はフードを防毒マスクにしっかりと固定し、手綱を鳴らして勢いをつけた。狩猟竜の背に乗ったエンギノは、氷で滑りやすいクレーターの壁を駆け上がり、地表へと向かっていった。