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第12話 (5/7)

 

 長い一日を過ごし、2回目の入浴と2回目の食事を終えた後、皆疲れ果てて柔らかいポンポンの花の巣に身を横たえて眠りについた。

 エンギノが助けたトガリバは、彼にぴったりとくっついて身を寄せてきた。

「そんなに近づくな!」とエンギノは怒ったが、その羽の塊は全く離れる気配を見せなかった。

 そこへデイジーが舞い降りてきて、さらに狭い隙間に割り込んできた。しかし隣に横たわるのではなく、エンギノの上に直接乗っかってきた。

「お前たち…頼みがあるんだ。重要なことだ。」エンギノは羽毛に埋もれながらつぶやいた。「すごく重要だ。誰かが一番最初に目を覚ましたら、すぐに俺を起こしてくれ。お前たちより先に目を覚ましたらダメなんだ。分かったか?」

 そこへスイレンがゆっくりと漂うように現れた。

「聞こえたか、スイレン?絶対に俺を寝坊させちゃダメだ!もし寝坊しそうになったら…そうなったら、お前たちは俺を…縛り上げるんだ。」

 ~それとも殺すんだな。~

 スイレンの顔を覆う目隠しのような翼がピクリと動いた。それを見たエンギノは、了承の合図だと受け取った。

 それでもエンギノはなかなか眠れなかった。絶対に深く眠りすぎるという失敗はしたくなかったからだ。

 だが、ついに目を開けていられなくなると、彼は夢の世界へと落ちていった。

 約束通り、スイレンは彼を早めに起こしてくれた。

 疲れ切った様子でエンギノはスイレンを見上げた。彼はすっかり疲れ切っていたが、幸せだった。彼の唇に笑みが広がった。


 xxx


 水源の作業は着実に進み、日々は美しい記憶として溶け合っていった。入浴、食事、作業、睡眠、遊び――そんな毎日の繰り返しだった。ときどきスイレンがエンギノの頭に唾を吐き、治癒のペーストを丁寧に塗り広げることもあったが、それ以外はエンギノに不満を抱く理由はなかった。彼も翼を持つ生き物たちも元気で、それが彼にとって何よりも大切だった。

 ただし、モスやキエロに二度と会えないかもしれないという考えは、彼の胸に痛みを走らせた。二人がどうしているのか、何度も思いを巡らせ、無事であることを願った。

 作業現場の窪みがようやく掘り終わったとき、翼を持つ生き物たちはエネルギー光線を地面の一点に集中させた。その光の柱は地面に小さいながらも深い穴を穿った。

 数分間、羽の塊たちは力を振り絞り、その光を地面へと放ち続けた。そしてついに、水の音が聞こえてきた。最初はぷくぷくと泡立ち、その後水が湧き出し、新たにできた池を満たし始めた。

 翼を持つ生き物たちは無言で歓声を上げた。彼らは翼を高く掲げ、空中で踊り始めた。エンギノも彼らと共に喜びを分かち合った。

 そのとき、デイジーが彼の肩をどんと押した。まるで彼を追い出そうとしているかのようだった。

 エンギノは両手を上げた。「分かったよ、行くってば!はいはい!」

 いつものように、デイジーがどこに連れて行こうとしているのか全く見当もつかなかった。

 トガリバ、スイレン、そして他の仲間たちも、エンギノと一緒に洞窟を出て、氷のトンネルへと向かっていった。

 エンギノが目的地にたどり着いたとき、少し驚いた。ここは見覚えのある場所だったのだ。彼がすでに知っているあの泉、小さなクレーターの池だ。切り立つ氷の壁を越え、空を見上げることができ、そこには太陽が輝いていた。その眩しい光に目がくらみ、彼は手を額にかざして視界を遮った。

 翼を持つ生き物たちは天井の穴から次々と外へ飛び出していった。冷たい青空の中で雲と競うように、ループやスパイラル、さまざまな曲技飛行を繰り広げた。温度や氷のような風も、彼らの厚い羽毛には全く影響を与えないようだった。

 彼らは徐々にフォーメーションを組み始めた。まるで事前に練習でもしていたかのように、しかし同時にそれがごく自然な行動であるかのように見える動きで、群れ全体が美しいアクロバットを見せた。

 エンギノはあまりの見事さに口をぽかんと開けたまま見惚れていた。

「なんて美しいんだ、こいつらは。」

 その時、デイジーが群れから離れ、彼の方へと飛んできた。羽を使って何か質問するような仕草をしていた。エンギノがようやくその意味に気づいたとき、思わず笑い出した。

「俺は一緒に飛べないよ!翼がないんだから!」

 デイジーは首を傾げ、まるでその事実を疑問視するかのようだった。そして口を開けると、それを合図にスイレンとトガリバも群れから離れて戻ってきた。

 彼らはエンギノの体を引っ張りながら、どこか別の場所へ行くよう促した。

 エンギノは抵抗せずに従った。

 彼はいつも「もう全部見たはずだ」と思っていたが、そのたびに彼らは新しい驚きを与えてくれた。

 エンギノはワクワクしながら周囲を見渡し、また新たな美しい発見を期待していた。

 氷の洞窟の丸い回廊は、どれも卵のようにそっくりだった。

 地理に詳しくない者は、ほぼ確実に迷う運命にある。

 どこを見ても、同じ青い輝きを放つメモリーストーンの結晶が点在していた。

 エンギノは最近になってこの迷路のような洞窟の構造に慣れてきたが、今回は彼が知らないルートを案内された。それは上へ向かう道だった。

 トンネルは次第に傾斜を増し、散歩が次第に苦行のようになっていった。

 もしかして、これが地表へ続く出口なのか?

 彼は尋ねる勇気が出なかった。

 彼は隣に浮かぶ羽の塊をチラリと見た。スイレンは隣で満面の笑みを浮かべながら漂っていた。

 デイジーとトガリバは先を飛び、やがて洞窟の終点に到達した。

 エンギノがその場所に着いたとき、彼は自分のブーツ越しに斜めに伸びる長いトンネルを見下ろした。

 彼の足元で小石が「カリッ」と音を立てて外れ、トンネルの底へと「カラカラ」と音を立てて転がり落ちていった。

 彼が何か言おうとする前に、デイジーが羽で覆われた後ろを滑らせながら、その氷の斜面を滑り降り始めた。

 トガリバとスイレンがエンギノの両腕を抱き、彼を滑り込む体勢へと導いた。

「ちょっと待って!これ、一体どこに繋がってるんだ、俺は…えっ…うわああああ!」

 一押しされ、エンギノはそのまま滑り出した。彼はトンネルを水滴がストローを通り抜けるように猛スピードで駆け抜けていった。

 トンネルは突然鋭いカーブを描き、さらにもう一つ、そしてまたもう一つ曲がった。

 地表はすぐ近くにあるのかもしれない。

 太陽の光がまるですりガラスを通しているかのように淡く射し込んでいた。

 エンギノはどんどん加速していき、まるで空を飛んでいるかのように感じた。アドレナリンで心臓が激しく高鳴り、その鼓動が耳に響いていた。

 ~これが見せたかったものなのか?~

 その激しい滑りは突然終わりを迎えた。

 トンネルが彼を腸の終点のように吐き出したのだ。次の瞬間、エンギノは宙に放り出され、自由落下に突入した。

 下を見ると、デイジーがポンポンの花でできた巣の中に座っているのが見えた。それは幅広いクッションのように滑り台の真下に置かれ、まるで着地点のようだった。

 しかし、エンギノは羽の塊たちのように軽くはなく、着地点を大きく飛び越えてしまった――そしてそのまま岩壁に激突した。

 全力で叩きつけられた衝撃で洞窟全体が揺れた。

 天井の鍾乳石に付いていた氷柱が一つ外れ、彼の額にぶつかった。その瞬間、エンギノは地面に叩きつけられ、次の瞬間には意識を失っていた。


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