第9話 (4/4)
その3年前
14,602年、
嵐のシーズン58日目。
「それが何を意味するか知らないのか?」フレームはゴドと共に、オムニドラゴンが生徒たちの帰還を待つためにいる場所へと向かった。生徒たちの背中には鮮やかな黄色のキャビンが背負われている。
ゴドはむっとして唇を尖らせた。「うん。それは…」彼は悲しげに後ろを見た。「…二度と揚げた妖精を食べられなくなるってことだ。」
フレームはまだそのことを考えたこともなかった。しかし、そうなのだ。今日から二度と、苦悶の悲鳴を考えずに妖精を食べることはできないだろう。
「実際、あの人魚と話してみようと思っただけなんだ。」
「死ぬ気か?!言葉はどうであれ、あの子はお前を殺そうとしたんだぞ!」ゴドは彼を怒鳴った。「絶対にあのヒレモンスターのところにもう一度行ってはいけない!」
もし今日がなかったら、フレームはあんなことはしなかっただろう。あるいはスノーがいなかったら。しかし、怪物にも人間と同じ、いやそれ以上の知能があることを知った今、彼はプールでの出来事を違った見方で見ていた。
二人はバスの後ろのベンチに座った。
スノーはリュックサックの中でうとうとしながら眠っていた。
通常、小さなドラゴンは日中に多くの睡眠を必要とする。
「なぜ彼女が私を殺そうとしたのか知りたいのです。」フレームは彼を起こさないように静かに言った。「彼女は私を攻撃する前、かなり長い間私を見ていた。」
「彼女があなたを殺そうとした理由は関係ない!人を殺すのに理由なんていらない!」
「たとえそうだとしても、私は彼女から直接聞きたい。彼女が何を考えていたのか聞きたい。どうして私を水の中に引きずり込んだのか知りたい。彼女はお前をつかむこともできたし、他の生徒を選ぶこともできたはずだ。そして、どうして私が生き残ったのかも知りたい。彼女には私を仕留める時間が十分にあったはずだ。」
ゴドは納得していなかった。「お前が生き残ったのは、猟師がタイミングよくお前を助けたからだ!あの獣を探しに行っても意味はない!たとえお前が彼女と話せたとしても、きっと妖精みたいにお前にべらべらしゃべってから、お前を溺れさせるだけだ!」
フレームは胸の前で腕を組んだ。「それなら、彼女に話し方を教えてやる。スノーみたいに。」
ゴドは深く息を吸い込んだ。「お前は本当に助からないな。」
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その日の午後、フレームは人魚飼育センターに向かった。
入場券を買い、少し前に溺れかけたホールに入った。
あの時と同じように、人魚たちは呆然としたように水の中に横たわっていた。
今日に限って、遠くから彼女たちのすすり泣く声が聞こえてきた。
みんな泣いていた。
彼女たちの悲しい笑い声がフレームの心を溶かした。
彼はゆっくりとプールの端に近づき、瞳孔の赤い人魚を見つけた。
「どうして泣いているの?」
誰一人として声をかけられたとは感じなかった。
おそらく、彼らはまだ彼の言葉を理解していないのだろう。
彼はさらにいくつかのフレーズを試してみたが、何も変わらなかった。
何の反応もない。
あきらめて帰ろうとしたとき、彼は彼らを見つけた。
プールの反対側から、濡れた黒髪越しに赤い切れ長の瞳孔が彼を見つめていた。
フレームは飲み込んだ。
このイメージが彼の脳裏に焼き付いて久しかった。
父が教えてくれたように、怖くてもいいのだと自分に言い聞かせた。
そして走り出し、人魚のところまでプールを一周した。
「こんにちは。」フレームは何度も悪夢を見たあの生き物に挨拶した。「誰だ?」
人魚は口を開き、尖った鋭い歯をむき出しにした。「あなたを覚えています。」
フレームは恐怖で固まった。彼の予想は正しかった。だが、それがゴドの言っていることが正しいとは限らないということを意味するわけではなかった。「お前、まだ……俺を……殺すつもりか?」
彼女は彼が理解できない音を発した。「私はお前を殺すつもりなんてなかった。助けたかっただけだ。」
「助ける?」
彼女の目は笑おうとしているかのように細められた。突然、ニクスはそれほど脅威的には見えなくなった。「あの日……お前の後ろに、武器を持った誰かが立っていた。」