第54A話 (4/4)
「で、ゴスター。お前はどう思う?」モスがその金色の瞳でフレームを見つめる。焦りと絶望がその中でせめぎ合っていた。
「国家魔法使いの役割を引き継ごうとする魔法使いたちに、俺たちは必然的に立ち向かわなきゃならない。」フレームは低く呟いた。
「で? 勝てるの?」ジモンが鋭い目で言う。「君たちが体験してきたことを踏まえて、今の状況をどう判断する?ネッスーノを制御できると思う?
そもそも、魔法使いたちに勝てるの?勝つ価値はある?それともエコーの言ってた通り、カニバリズムを終わらせるって計画自体が最初から破綻してたの?」
場の空気が再び沈んだ。
皆、それぞれの思考の中で黙り込み、状況から導き出せる可能性を一つひとつ検討していた。
出た結論は――どれも最悪だった。
どの案も希望が薄く、唯一「可能性」がありそうなのは、あの眠っている国家魔法使いを静かに、密かに、そして卑怯に殺すこと。
ネッスーノは、他の敵と比べればまだ倒しやすい。
この好機を逃してもいいのか?
もしかしたら改心するかもしれないなんて、小さな希望に賭けて見過ごすのか?
「一晩、考えよう。」やがてアサノが言った。「俺たちは皆、疲れてる。」
確かにその通りだった。
寝袋を広げて横になると、今回はフレームがモスから少し距離をとって寝場所を選んだ。
アサノとゴドの間が、彼のポジションだった。
「兄弟……めっちゃ顔ヤバいぞ。」ユニコーンのまんまる目が、しょんぼりと伏せられる。「自分を責めんなって。」
「俺のせいでアラナが連れて行かれたんだ。」フレームは囁くように言った。「俺が治療法の話をしたから、彼女に知られてしまった。それに、ティタニアが今どうなってるかも分からない。エコーも、あのアイスドラゴンも……俺のせいで……」
ゴドはそんな彼を、ずっと優しい目で見つめていた。
まるで今ここにいるのが、罪人じゃなくて友人であることを当たり前のように受け入れていた。
「それは緊急事態だったんだろ。自分を責めすぎんな。」ゴドの声は穏やかだった。
「もしお前が俺の立場だったら、どうしてたと思う?どうすると思う?」フレームは静かに尋ねた。
「分かんねえよ、兄弟。分かんねえ。」ゴドは少し近くに寄ってきた。「ちょっと、俺の毛、触ってみ?」
フレームは手を伸ばす。「……やわらかい。」
「だろ? なんかさ、あったかい毛を撫でると、脳から幸せホルモンが出るって読んだことあるんだ。つまり俺は今、生きた幸福製造機ってわけ。」ゴドが小さくいなないた。
「……多分、お前は前からそうだったんだよ。」こらえきれず、笑みが唇を奪った。「病気が、お前の本当の姿を表に出しただけなのかもな。誰にも分からないけどさ。」
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翌朝、フレームが目を覚ましたとき、肉体の疲労はすでに回復していたが、心の苦しみは依然として彼を重く押さえつけていた。
朝食を終えると、彼らは再び頭を突き合わせて、今後の行動について話し合った。
「もう俺たちは、お前の命令に従うって決めたよ、ゴスター。」モスが言った。「だから、今回もその方針でいく。ただし、今ここで決めなきゃならないことがある。アラナを救うために街へ向かう前に――ネッスーノをどうするかだ。どうするんだ?」
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【 フレームはどうすべきか? 】
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❖ 第9AC部「ネッスーノを殺す」❖
❖ 第9AD部「ネッスーノを殺さない」❖
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ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!
この物語には10通りのエンディングが存在するため、これから8Bルートの投稿を開始していきます。
気長にお待ちいただき、心から感謝申し上げます。
もしよろしければ、「8Aルート」を選んだ理由やご感想を評価・レビュー・コメントで教えていただけると嬉しいです。
特に、なぜエコーを殺す選択をされたのか、すごく気になります……!