第54A話 (3/4)
「つまり、エコーは死んだってことか。」アサノは、フレーム、ディリー、モスの三人からすべてを聞いた後、そう繰り返した。「じゃあ、これからどうする?」彼の視線は眠っているネッスーノへと移った。彼女の呼吸は穏やかで、規則正しい。「俺の理解が正しければ、彼女は時限爆弾だ。もしエコーと同じような力を持ってるなら、俺たちなんて一瞬で終わらせるだろう。特に今は戦力も減っているしな。」彼はジモンの脚に装備された二丁のサンダーガンをじっと見つめた。「しかも、海野はまだ任務から戻ってない。」
「たとえオスコットが帰ってきたとしても、俺たちの武器が増えるわけじゃない。」モスが言った。
「サンダーガンは、繁殖する妖精ってわけじゃないからな。結局、兵舎を襲って仲間たちからピストルを奪うしかないだろう。」
「ゴスター、顔が冴えないわね。」ジモンが言った。
フレームは目を伏せた。
これから言おうとしていることが、恥ずかしかったからだ。
本当は、自分の不快感なんか無視して動くと決めていた。
何があっても、カニバリズムを止めるためにできることは全部やると誓ったはずだった。
だけど――
「これ以上、仲間にまで刃を向けるなんて、無理だ。
目的のためなら何をしてもいいってことにはならない。」
「で? どうするつもりだ? 枕でも投げて戦うか?」モスが皮肉を飛ばす。
「目を覚ませよ。盗むのがどうとか、そんな道徳の話をしてる余裕はない。あんとき倉庫を漁ってたときは、平気な顔してたくせに。」
「それは事情が違う。猟師である俺たちは、正式にあの倉庫の資源を使う権利があるんだ。」フレームが言い返す。「仲間に、協力してくれって頼むのはどうだ? 自分から武器を貸してもらえないか。」
「もし断られたら?」ディリーが問う。
ジモンは嘲笑交じりに「はっ」と声を漏らした。「そしたら、そいつらは“仲間”なんかじゃないってことよ。」