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第6話 (1/5)


 小さな氷のドラゴンは石のように地面に倒れた。フレームは凍りついたように立ち尽くし、その死体を見つめていた。一方、父と妹は急いで獲物を調べに向かった。

「よくやった」とテロンは娘を褒めたが、ヴァヴァリが何と答えたのか、フレームには聞こえなかった。

 声がぼやけ、彼の目に映るのは死んだ友人の姿だけだった。

 その小さな体を支えていた翼は、ぐったりと垂れ下がっている。息もなく、胸が上下することもない。

 それは眠っているわけではなかった。

 それは彼にとってあまりにも重すぎた。逃げなければならない。ただ、どこまでも遠くへ逃げなければならなかった。

 フレームは家族に背を向け、走り出した。

 彼の足は地獄を離れ、黒い迷宮を抜け、国境を越え、街へと向かった。一歩も止まることを許さなかった。息を整えた瞬間、喪失の痛みが彼を突き刺すからだ。

 息も絶え絶えにゴドの家にたどり着いた。

 友人は驚いた顔で玄関のドアを開けた。「おや?どうしたんだ?」

 フレームはその場で声を詰まらせ、ただただ泣き続けた。

 ゴドの母親は騒ぎを聞きつけてやってきた。

 彼女はフレームを家の中に招き入れ、リビングのソファに座らせ、クッキーとティッシュを差し出した。

 しかし、どちらも手つかずのままだった。

 フレームは何分も落ち着くことができなかった。彼が何も話さないため、ゴドの母親はやがて部屋を出て行った。

 母親がいなくなると、ゴドが尋ねた。「なあ、何か手伝えることはあるか?」

 フレームはすすり泣きながら答えた。「ここに住んでもいい?」

 ゴドはうなずき、フレームはすべてを話し始めた。話し終えたその瞬間、玄関のドアが勢いよく開き、テロンが堂々と入ってきた。

 その後ろには心配そうな表情を浮かべたゴドの母親が立っていた。

「来い!」テロンは命じると、フレームを力強く引っ張った。

 フレームは横目で、ゴドが飛び上がってイエティ猟師に立ち向かおうとするのを見た。しかし、彼の母親がすぐに駆け寄り、馬鹿なことをしないように息子を制止した。

「大丈夫だよ。」フレームは小声で言った。ゴドをこのトラブルに巻き込みたくなかったのだ。誰か一人が怒られるだけで十分だったからだ。何より、ゴドの母親はまさに悪そのものだった。

 仕方なく、フレームは父親に従って家へ戻ることになった。道中、フレームは一言も発することなく、家に着くや否や、階段を駆け上がり、自分の部屋に閉じこもった。

 彼はベッドの上で丸くなり、そのままじっとしていた。やがて、階下から聞こえてくる声が、平穏が長く続かないことを告げていた。

 寝室のドアがノックされた。返事を待たずに、妹が部屋に入ってきた。

「ねえ、どうしたの?」と彼女は心配そうに尋ねた。「どうして逃げてきたの?」

 フレームの涙は頬を伝い、顎から星模様のベッドカバーへと次々に滴り落ちた。

 妹は彼の隣に腰を下ろした。その無邪気で何も知らないような表情がフレームの心を激しく掻き乱した。

「お前が殺したんだ……」彼は声を震わせながら、そう絞り出した。

 彼女は弓のきつい腰紐から抜けた髪の束を、視界の外で撫でた。「あなたのためにやったのよ。パパと私は、あなたがモンスターを怖がっているように感じたの。」

 フレームの目は驚愕に見開かれ、彼の体は反射的に跳ね上がった。「俺が怪物を怖がっていたですって?」

 ヴァヴァリは目を逸らさずに彼を見つめ返した。その顔には一片の後悔も浮かんでいなかった。「あなたを守りたかったの。」

 その瞬間、フレームはもう妹の姿に耐えられないと悟った。「出て行け。」

 ヴァヴァリは一瞬ためらったが、最終的にはその言葉に従い、部屋を後にした。

 一人になると、フレームの思考はぐるぐると回り続け、気分が悪くなった。

 1時間も経たないうちに再びノックの音がした。アラナが食事を呼んでいた。返事がないと、数分後には彼の部屋のドアが勢いよく開けられた。

「さっさと来い、食べなさい!」と父親が命じた。

 フレームは動く気配を見せなかった。

「もう我慢できん!お前は最初にみんなを危険にさらしておいて、次は目をつぶって逃げて大きな驚かせをしたと思ったら、今度は自分の体をも踏みにじってる!」テロンの目の中の青い海は暗い嵐に変わり、声を荒げた。「もうお前が餓死するのを見過ごせん!何週間もお前が痩せていくのを見てきたんだ!今日は絶対に食べるんだ!」

 フレームをベッドから引きずり出し、階段を下ろしながら強引に彼を運んだ。

 フレームは、必死にその腕から逃れようとしたが、無駄だった。大声で叫んだ。「お腹が空いてない!」

「私は息子を死なせはしない!」とテロンは怒鳴った。「これ以上痩せたら、助けられなくなるぞ!」彼はフレームを食卓のある部屋に引きずり込み、片腕でしっかりと押さえたまま、スープをすくった。

 フレームは顔をそむけたが、その瞬間、テロンはやっと腕を放した。しかし、立ち上がろうとしたその瞬間、テロンはフレームの顎を掴み、無理やりスプーンを口に押し込んだ。「今すぐ食べろ!」

 フレームは歯でブロックし、スープはこぼれ、スプーンは床に落ちた。金属が床板にぶつかる音が響いた。

「私たちは猟師だ!食べ物を無駄にするな!」とテロンは怒りをあらわに叫び、次の瞬間、バチンと音が鳴った。彼はフレームに思いっきり平手打ちを食らわせた。

 フレームは硬直した。肌が張り、頬に痛みが走った。突然、その頬が湿った。涙が次々と顔を伝い、テーブルクロスを濡らした。

「噛んで飲み込むんだ!」と父親は命じ、別のスプーンを取り、それをスープに浸し、顎を離すことなくフレームに食べさせた。

 フレームは、何を食べているのかを尋ねるまでもなく知っていた。その味はよく知っていた。さらに、彼は座ったまま、台所のカウンターにある食べられない氷竜の残骸が見えた。今日の獲物の残り。友情の残骸。

 ヴァヴァリーとアラナは黙ってその様子を見守り、何も言わず、フレームがスプーンで次々とスープを食べ続けるのを見ていた。

 スープを食べ終わると、フレームは絶望的に泣き叫んだ。「もう猟師にはなりたくない!」

 テロンは腕を組んだ。「分かる、モンスターは怖い。でも、そこから逃げても、消えることはない。」

 フレームは両手を握りしめ、爪が肉を切り裂くのを感じた。

 父親は続けた。「自分の言葉に責任を持たなければならない。覚えているか?お前が俺に言ったことを。」

 フレームは必死にテロンのグリップから逃れようとしたが、無駄だった。大声で叫んだ。「腹は減ってない!」

「息子を死なせるわけにはいかない!」テロンは怒鳴りながら言った。「これ以上痩せたら、助けようがない!」テロンはフレームを片腕で押さえつけ、力強くダイニングテーブルの前に押し込んだ。そして、スープの入ったボウルをすくった。

 ようやく腕を放した瞬間、フレームは顔を背けたが、立ち上がる前に、テロンは彼の顎をがっちりと掴み、スプーンを無理やり口に押し込んだ。「今すぐこれを食べろ!」

 フレームは歯でスプーンを阻止し、スープがこぼれてスプーンが床に落ちた。金属が床板にぶつかり、音を立てた。

「俺たちは猟師だ!食べ物を粗末にするな!」とテロンは激怒し、次の瞬間、バチンという音が鳴った。思いっきり平手打ちをくらったフレームは硬直した。皮膚が引きつり、頬に激痛が走る。突然、その頬が湿った。涙が次々と流れ、テーブルクロスを汚した。

「噛んで飲み込め!」と父親は冷徹に命じ、別のスプーンを取ってスープに浸し、顎を放すことなくフレームに食べさせた。

 フレームは、それが何を食べているのかを聞くまでもなく分かっていた。その味はよく知っていた。その上、彼の座っている位置からは、厨房のカウンターに置かれた氷竜の死骸が見えた。今日の獲物の残り物。友情の痕跡。

 ヴァヴァリーとアラナは黙ってその様子を見ていた。フレームが次々とスプーンでスープをすするのを、何も言わずに見守っていた。

 スープを全部食べ終わった後、フレームは絶望的に叫んだ。「もうモンスターハンターにはなりたくない!」

 テロンは腕を組んで、冷たく言った。「モンスターが怖いのはわかる。でも、逃げたってモンスターは消えない。」

 フレームは拳を握りしめ、爪が肉を食い込むのを感じた。

「自分の言葉に責任を持て。覚えてるか?お前が俺に言ったことを。」


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