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第53A話 (2/2)

 

 グラハム・パブロン将軍は、厳しい表情でフレームが拘束されている牢屋に入ってきた。

 背筋は真っ直ぐに伸び、彼からは誰も逆らえないほどの自然な威厳がにじみ出ていた。

 義眼の上に走る傷跡が、その威圧感に拍車をかけていた。

「フレーム・ゴスター。」グラハムは名を呼び、短く言った。「恥を知れ。」

 その背後から、テロンが入ってきた。表情は読めないほど硬く、彼の非難に満ちた目には、壁のランタンが不吉な光を反射していた。

 フレームは怒りで煮えたぎっていた。

 父に非難される筋合いはなかった。

 そして、実の妹を拘束したこの将軍にも、同じくその権利はない。

 ティタニアもこの城にいることは、彼女の声から察していた。

 だが、どこに囚われているのかは分からない。

 自分だけが、完全に孤立した場所に閉じ込められていた。

 グラハムはフレームの牢の前に立った。

 鉄格子が、彼の革のように荒れた顔の一部を遮っていた。

「ネッスーノはどこだ?」

「知らない。」

「ふざけるな。」グラハムの声は、まるで火花を吐く種子のように鋭く飛んできた。「協力しろ。お前の仲間の命が惜しいならな。」

 フレームの瞳孔がすっと細まる。「そんなの、できるわけない……! それは、殺人だ!」

 ~エコーにやったことと、同じじゃないか。~

 その考えが喉を詰まらせた。

「国家への反逆は、死刑に値する。」グラハムは続ける。「今も奴らが葬儀屋に送られていないのは、ただ私が情けをかけているからだ。だからこそ、努力しろ、ゴスター・ジュニア。私の慈悲に価値があると証明してみせろ。お前の父が“見逃してくれ”と頼んできたとき、私が判断を誤っていなかったと、証明してみせろ!」

 一言ごとに、グラハムの声は大きくなり、テロンの目はさらに鋭さを増していった。

 その瞬間、フレームは気づいた。

  ~父は、あれほど冷酷な態度を取りながらも、自分を守ろうとしていたのだ。~

 ヴァヴァリーのことも思い出す。

 彼女もまた、命を懸けて守ろうとしてくれた。

 だが、どちらもやり方を間違っていた。

 だからこそ、フレームは自分の手で、正しい道を選ぶと決めていた。

 彼は片脚を引き、強化・硬化させ、思いきり鉄格子の一本を蹴り飛ばした。

 金属は根元から吹き飛び、一直線にグラハムの“上から目線の顔”を直撃した。

 牢の扉が開いた。

 フレームはわずか二歩で将軍に詰め寄り、その抜けた鉄格子を首元に押し当て、壁に押しつける。

「動いたら、こいつを絞め殺す。」フレームはそう脅して、テロンの様子をうかがった。

 息苦しそうにうめき声を漏らすグラハムに対し、テロンは一切動じることなく、静かに佇んでいた。

「……ようやく話を聞いてくれる気になったか?」フレームは父に問いかける。

 テロンは、将軍を助けようともせず言った。「話せ。」

 フレームは深く息を吸い込む。「お前は最低の父親だ。誰よりもひどい。俺に、敵にもさせたくないようなことを強いた……お前のことが、心底嫌いだ。」

「子供たちに憎まれることなど、どうでもいい。」テロンは静かに返す。「だがその憎しみが、お前を強くしたなら、私は父としての務めを果たしたことになる。この世界では、強者しか生き残れない。私は、それをお前に望んでいる。」

 フレームの手は震えていた。

 だが、鉄格子を握る力は緩めなかった。

 むしろ、さらに強く押しつける。

 グラハムは苦しげな音を漏らす。

「俺はアラナを探して、助け出す。」フレームは低く言い放つ。「彼女は、俺のやったことには何の関係もない。完全に無実だ……だから、よく考えろ。誰が本当の敵かを。」

 そう言って、彼は鉄格子をさらに押し込み――

 次の瞬間、勢いよくそれを引いて構え、思い切りテロンの義足に打ちつけた。

 その動きの中で、フレームは全身のスピードを強化し、まるでメテオの直撃のような一撃を父に叩き込んだ。

 義足は粉々に砕け、破片がグラハムの顔をかすめて飛ぶ。

 テロンが倒れ込んだその隙に、フレームは彼の脇を駆け抜け――

 仲間たちが囚われている、別の牢へと走った。


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