第51A話 (2/2)
ようやく鞍に戻ったフレームを乗せて、23は再び空高く舞い上がった。
フレームは不機嫌そうに自分の武器を見つめた。
片方のサンダーガンは、さっきの墜落の衝撃で絶縁部にひびが入っていた。
今これを使えば、自分ごと爆発しかねない――そんな危険性があった。
フレームは、攻撃を仕掛けてくる二体のうち、大きい方の氷竜に注意を向けた。
小さい方は、ティタニアとアトラスが相手をしている。
だが、その巨大な方は、モンスター猟師たちを手こずらせていた。
その長い尾で次々と猟師たちを薙ぎ払い、戦線を崩していく。
フレームは23を操り、怪物の頭部へと突っ込んだ。
そして叫ぶ。「これが最後の警告だ!もう俺たちと戦うのはやめろ!」
「やめなかったら、どうするつもりだ!」モンスターが咆哮しながら反転したその瞬間、その巨体の尾がディリーに向かって振り下ろされた。
フレームは急いで彼女のもとへ向かった。
だが、避けるにはもう遅かった。
フレームは99の鞍に飛び移り、ディリーの前に立ちはだかる。
腕を交差させて、頭を守るように構えた。
鋼のように硬い鱗が彼の体に叩きつけられた瞬間――
誰もが予想しなかったことが起きた。
いや、何より本人が一番驚いていた。
彼は――耐えたのだ。
歯を食いしばり、巨大な尾を押し返す。
まるでトンネルのように太く、長い竜の尾を。
それは力の勝負だった。
先に折れるのは、フレームか、ドラゴンか。
敵の群れは、すぐそこまで迫っている。
この一体すら止められなければ、他のモンスターたちに太刀打ちできるはずがない。
――違う。違う!
もっと強く。もっと硬く。
フレームは、負けるわけにはいかなかった。
勝たなければならなかった。
彼は全身の力を込めて、竜の尾を跳ね返した。
氷竜はバランスを崩し、体勢を崩した。
だが、すぐに持ち直すと、次の瞬間――
その鋭い歯をむき出しにした顎が、フレームたちに迫ってきた。
ディリーも99も、もう一歩でその喉奥に飲み込まれそうだった。
「今度こそ、やらせるかよ。」
フレームは歯を食いしばりながらサンダーガンに手を伸ばした。
だが、引き金を引かず、電源だけを入れると、
銃をそのままモンスターの喉へと投げ込んだ。
すぐに彼は反転し、逃走態勢に入る。
ディリーを抱え込むようにして下へと飛び込み、99もそれに続いた。
その直後、空と地を揺るがすような爆発が起きた。
衝撃波が中心から円を描くように広がり、
その高度に存在していたすべてを吹き飛ばしていった。
到着したばかりのモンスターたちの多くもその波に巻き込まれ、地獄へと叩き落された。
すさまじい威力だった。
たった一つのメモリーストーンで、ここまでの破壊を生むとは。
――南バンカーにある“巨大”メモリーストーンが爆発していたら、
どれほどの惨事になっていたのか。
フレームは、それを想像したくもなかった。