第49A話 (2/3)
エンギノは、じっと辛抱強く耳を傾けていた。
フレームの話が進むにつれて、その瞳の輝きは徐々に薄れていった。
すべてを聞き終えたあと、エンギノはただこう呟いた。
「……本当に、みんな殺さなきゃいけないの? 他の方法は、ないの……?」
フレームには、その問いに答える言葉が見つからなかった。
太陽が地平線の向こうへと沈みかけた頃、彼らは一日の寝床を探すために地上へ降り立った。
周囲を十分に調査したのち、彼らは岩陰の下を選んだ。風をしのぐには絶好の場所だった。
ドラゴンたちは雪の地面を踏み固めて平らにし、残った雪を壁のように積み上げた。
フレームとエンギノは協力してテントを張り、氷用のスクリューでシートをしっかりと固定した。
電気ストーブの熱は心地よく、テント内が十分に暖まったところで、
フレームは仲間たちの服を脱がせて、傷の手当てを始めた。
ディリーの傷はモスよりも重かった。
エンターフックの爪が触れた箇所には、はっきりと火傷の痕が残っていた。
フレームはそこをアルコールで消毒し、薬を塗ってから包帯を巻いた。
モスの方は電撃によるダメージをかなりうまく耐えていたが、それでも処置は必要だった。
彼が眠ったまま水分を取れるように介助したあと、フレームはエンギノと簡単な夕食をとり、そのまま眠りについた。
翌朝――
フレームは顔の上に乗った強烈に臭い靴下で目を覚ました。
顔の上の足だけでなく、膝の上には誰かの頭が乗っていた。
モスが彼を足置きにし、ディリーは枕にしていたのだ。
フレームはそっと二人を押しのけ、エンギノを起こして彼が寝過ごさないようにし、朝食の準備を始めた。
「……フレーム?」
ディリーが目をこすりながら起き上がった。
「まだ痛むか?」とフレームは心配そうに尋ねながら、フライパンの中のコショウユリをひっくり返した。
「少しだけ。」ディリーは自分の体を見下ろし、胸から肩にかけて巻かれた包帯を見つめた。
フレームはコショウユリを皿に移し、それを彼女に差し出した。
ディリーは感謝の言葉と共に受け取った。「……あの時、私の前に飛び出してくれたよね。助けてくれて、ありがとう。」
フレームは口元に微かな笑みを浮かべた。「違うよ、ディリー。君が、僕を助けたんだ。……覚えてないのか?」