表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

198/218

第49A話 (2/3)

 

 エンギノは、じっと辛抱強く耳を傾けていた。

 フレームの話が進むにつれて、その瞳の輝きは徐々に薄れていった。

 すべてを聞き終えたあと、エンギノはただこう呟いた。

「……本当に、みんな殺さなきゃいけないの? 他の方法は、ないの……?」

 フレームには、その問いに答える言葉が見つからなかった。

 太陽が地平線の向こうへと沈みかけた頃、彼らは一日の寝床を探すために地上へ降り立った。

 周囲を十分に調査したのち、彼らは岩陰の下を選んだ。風をしのぐには絶好の場所だった。

 ドラゴンたちは雪の地面を踏み固めて平らにし、残った雪を壁のように積み上げた。

 フレームとエンギノは協力してテントを張り、氷用のスクリューでシートをしっかりと固定した。

 電気ストーブの熱は心地よく、テント内が十分に暖まったところで、

 フレームは仲間たちの服を脱がせて、傷の手当てを始めた。

 ディリーの傷はモスよりも重かった。

 エンターフックの爪が触れた箇所には、はっきりと火傷の痕が残っていた。

 フレームはそこをアルコールで消毒し、薬を塗ってから包帯を巻いた。

 モスの方は電撃によるダメージをかなりうまく耐えていたが、それでも処置は必要だった。

 彼が眠ったまま水分を取れるように介助したあと、フレームはエンギノと簡単な夕食をとり、そのまま眠りについた。

 翌朝――

 フレームは顔の上に乗った強烈に臭い靴下で目を覚ました。

 顔の上の足だけでなく、膝の上には誰かの頭が乗っていた。

 モスが彼を足置きにし、ディリーは枕にしていたのだ。

 フレームはそっと二人を押しのけ、エンギノを起こして彼が寝過ごさないようにし、朝食の準備を始めた。

「……フレーム?」

 ディリーが目をこすりながら起き上がった。

「まだ痛むか?」とフレームは心配そうに尋ねながら、フライパンの中のコショウユリをひっくり返した。

「少しだけ。」ディリーは自分の体を見下ろし、胸から肩にかけて巻かれた包帯を見つめた。

 フレームはコショウユリを皿に移し、それを彼女に差し出した。

 ディリーは感謝の言葉と共に受け取った。「……あの時、私の前に飛び出してくれたよね。助けてくれて、ありがとう。」

 フレームは口元に微かな笑みを浮かべた。「違うよ、ディリー。君が、僕を助けたんだ。……覚えてないのか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ