第47A話 (5/5)
現在
モスは99に乗って猛スピードで追いかけた。
キエロを連れてエンギノを逃がすわけにはいかなかった。
それは、全員の死を意味する。
パブロンさんがいなければ、彼らは街に戻ることもできず、凍死するしかない。
フレームとディリーが戦闘不能となった今、モスに選択肢はなかった。
彼がエンギノを止めるしかなかった。
モスは出力を上げ、エンターフックを撃ち放った。
エンギノはかわした。
旅行ドラゴンを巧みに操り、モスの横をすり抜けながら、空いた片手でサンダーガンを構えて発砲する。
だが、モスも腕の立つライダーだった。
彼は空中で99を反転させ、すぐさまエンギノの後を追った。
「助けたことを後悔させんなよ!」モスが叫ぶ。狩猟竜は加速し、104に並ぶまでに至った。
モスは鐙から足を外し、鞍の上に立ち上がると、タイミングを見計らって馬車の屋根へと飛び移った。
「お前にはマジでうんざりだ!」エンギノも鞍の上に立ち上がりながら唸る。
飛行中のバランスを取りつつ、片手にはサンダーガンを構えたままだ。
「入隊式の頃からずっと偉そうにしてやがって。
でもな、今ここでどっちが上か、ハッキリさせてやるよ。」
「俺が偉そうにしてたって、本気で思ってたのか?」モスはしゃがみ込み、両手をゆっくりと銃に添えた。「お前の無鉄砲さから守りたかっただけだって、考えたこともなかったのか?」
エンギノは唸るように言い返した。「兄貴ヅラすんなよ……!俺には兄貴なんか一人しかいねぇ……!そいつを、お前らが連れ去ったんだよ!」