第47A話 (3/5)
「このクソ頭が!」モスは罵声を上げながらエンギノに接近し、武器を彼に向けた。
モスがエンターフックを放った瞬間、エンギノはもう片方の拳銃でそれを撃ち落とした。
金属の爪と爪が激しくぶつかり合い、モスのフックは逸れて弾かれた。
同時に、エンギノはもう一方のサンダーガンのスチールワイヤーを巻き取り、五秒も経たぬうちに引き金を引いた。
モスはエンギノを狙い、エンギノはディリーを狙った。
モスは回避できた。
だが、ディリーは撃たれた。
電撃がディリーの体を走り、彼女の足は鐙から外れ、鞍から投げ出された。
モスは即座に急降下し、彼女を空中で受け止めようとした。
その間にエンギノは馬車へと駆け寄り、弟を解放しようとしていた。
モスは急いだ。
でなければディリーが花のジュレになってしまう――それだけは何としても避けなければならなかった。
冷気が顔を切り裂くように吹きつけ、フードは防寒マスクから吹き飛ばされた。
氷のような風が頭皮に突き刺さり、まるで炎のように焼けついた。
それでもモスは99を操って真っ逆さまに突っ込んだ。
彼の思考には、ディリー以外のことが入り込む余地はなかった。
氷の地面に叩きつけられる、ほんの数メートル手前で、モスは彼女を受け止めた。
肺と心臓の状態を確認――問題なし。
彼は安堵の息を吐き、空を見上げた。
そこには、エンギノが104の鞍に腰を下ろし、手綱をピシリと鳴らす姿があった。
彼は旅行ドラゴンに牽かれた馬車――キエロ・パブロン中尉を乗せたそれ――に乗って、彼らの頭上を飛び越えていった。