第47A話 (2/5)
「もう後戻りはできない。」フレームはそう呟いた。
雲の上を越えてニューシティへ戻る飛行の最中だった。
そのとき初めて、彼は自分たちの状況が何を意味するのかを実感した。
フレームは、ついに一線を越えてしまった。
彼は失敗したのだ。
最悪の事態が現実となった。
彼と仲間たちに残された道は一つだけだった――血に塗れた痕跡を辿るしかない道。
彼はため息をついた。「ネッスーノを殺さなきゃならない。」
ネッスーノ、そして彼らの前に立ちはだかるすべての者たち――それはすなわち、スタージス一家も含まれる。
リサレの求めていたことを、彼は結局やり遂げることになるのだ。
馬鹿げている。だが、こみ上げてくるのはただただ吐き気だった。
モスとディリーもまた、同じように沈んだ顔をしていた。二人の表情は張りついたように硬く、わずかも緩まなかった。
「君の言う通りであってほしかったよ。本当に」とモスが言った。
「でも、もしかしたら彼女や他の魔法使いたちを説得できるかもしれない」とディリーは希望を口にした。
「一人が聞く耳を持たなかったからって、他のみんなもそうとは限らないでしょ。」
その可能性が限りなく低いことを、フレームは胸の内に留めておいた。
ディリーの希望にすがりたい気持ちは山ほどあった。
だが、彼はもうただの国家の敵ではなかった。
今や、殺人者だった。
この罪を、魔法使いたちも国家も、そして何より彼自身が許すことはないだろう。
何度もエコーの遺体の映像が脳裏に蘇った。
その瞬間はまるで呪いのように、一生彼に付きまとうのだろう。
だが同時に、彼は理解していた。ほんの一瞬でも躊躇していれば、モスはもうここにはいなかった。そして、おそらく彼自身も。
もしもバリアを突破し、人喰いを終わらせたいのなら、国家が彼らを捕らえ裁きを下すより前に、敵をすべて詰ませなければならない。
言葉だけで状況を変えられる段階は、もう過ぎていた。
国家魔法使いを殺した今、誰が彼らの声に耳を傾けてくれるというのか?
重たい気持ちを抱えながら、フレームはついに認めざるを得なかった。
もう自分一人の綺麗事ではいられない。
これからは手を汚すことを恐れてはいけない。
非道な手段であっても、人類の大多数を人喰いから守るためなら、すべてを使わなければならない。
たとえその手段が赦されないものであり、自分を殺人鬼に変えてしまうとしても。
問題なのは、自分の良心ではなかった。
これは、人類全体の未来に関わることだった。
空の蒼さはすでに消え失せ、雲が天を覆っていた。
灰と白の混じるその天蓋は、エコーが創り出したあの白い部屋を思い出させた。
あれは、特異な魔法だった。
彼はあんな術を、これまで一度たりとも聞いたことがなかった。
フレームは考えた。
ネッスーノはどんな能力を持っているのか――
そして、どうかそれを知る機会が一生訪れませんようにと、心から祈った。
彼らが中間地点あたりまで来たとき、五人のドラゴンライダーの一団が空域に接近してきた。
猟師たちだ。
その先頭にいたのは、見覚えのある顔――エンギノ・パブロンだった。
近づくにつれ、彼の黒い眉間に深く刻まれた怒りの皺がはっきりと見えるようになった。
「ぶっ殺してやるぞ、このクソ裏切り者ども!」パブロンは怒号を上げた。
これでパブロンさんがどちら側についたかは明白だった。
「ショックを与えないと。」フレームはそう言いながら、武器に手を伸ばした。
「任せろ。他は頼んだ。」モスは返事を待たずに前へ飛び出した。
フレームにできるのは、頷くことだけだった。
23を操りながら、エンギノとともにいた四人の猟師たちへと突っ込む。
彼は武器を引き抜き、サンダーガンを放った。
一度の発射で、二人を同時に撃ち抜いた。
やられた猟師たちは力を失い、空の鞍の上で空っぽの袋のように崩れ落ちた。
残りの二人がフレームに襲いかかると、23は鋭く回避機動をとった。
その勢いで猟師たちの乗るリードモンスターは互いに衝突しかけ、慌てて軌道を変える。
その隙を突いて、フレームはエンターフックを引き戻し、再び射出した。
その間に、エンギノはモスの方へと突っ込んできた――いや、正確にはモスを素通りし、狙いをディリーへと変えたのだった。
意識を失ったままの中尉が眠る馬車。彼女の元へ向かっていた。
「弟を返せ!」エンギノは叫び、ディリーに向けて銃撃した。
モスはすぐさまパブロンさんの背を追っていたが、それよりも早くフレームが動いた。
考える暇もなく、彼はディリーの前へと飛び出した。
電撃が全身を貫いた。
そして、彼の身に起きたのは、先ほどショックを与えた猟師たちと同じことだった。
フレームは意識を失い、その場で崩れ落ちた。