第47A話 (1/5)
【第8A部】この世に存在しない正義。
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あなたは、エコーを殺すという決断を下した。
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電流はスチールケーブルに沿ってエコーの体へと流れ込んだ。
彼は前回と同じように痙攣したが、今回はさらに激しかった。
今度こそ、彼は倒れたまま動かなかった。
フレームは浅く息をしながら、目を大きく見開いたままその動かない体を見つめていた。
モスを拘束していたフックが外れ、コンクリートの床にカシャンと音を立てて落ちた。
「ありがとう」とモスが言い、国家魔法使いのもとへと歩み寄った。彼はしゃがみ込み、エコーの脈を取った。「つまり、お前は決めたんだな、ゴスター。」
「違う。」フレームは勢いよく首を横に振った。「彼はすぐに再生する。ウェザロンのときと同じように。数分で戻ってくる。早く麻酔を打たなきゃ。」
「いや、彼は目を覚まさないと思う。」モスは言った。「彼には意識が必要なんだ、回復するには。」
「ウェザロンだって、一分間は生命反応がなかった!もし今すぐ打たなかったら……」
モスは疑わしげに彼を見た。「じゃあ、俺はディリーを隔離室から出してくる。でも、自分を責めすぎるなよ。」彼は安全スイッチのもとへと向かった。
フレームは足元に倒れている国家魔法使いを凝視した。彼は絶対に死んでなんかいない。ウェザロンと同じように……フレームは何度も瞬きをした。しかしエコーは目を覚ます気配すら見せなかった。死んだふりだ。きっとそうに違いない。油断させようとしてる……
ディリーが彼のもとに駆け寄り、最初にしたのはフレームを抱きしめることだった。
「ごめんね!」と彼女は叫んだ。「私たちはあなたの味方よ!あなたのせいじゃない!」
モスの目がフレームに向けられた。「お前、今までモンスターを殺したことがなかったんだな」と彼は言った。「これが初めてだ。」
「ちが……エコーは死んでない……」フレームは呆然とした様子で口ごもった。「彼は国家魔法使いだぞ!」
ディリーはフレームにぎゅっと寄り添い、強く彼を抱きしめた。「あなたは正しいことをしたの。私たちはあなたの味方よ!」
「違う……」フレームの目には涙が浮かんでいた。彼は心臓の止まった国家魔法使いを凝視し続けた。
エコーはもう、目を覚まさなかった。