第45話 (2/4)
地上は、フレームが最も畏敬の念を抱く場所だった。天候は予測不能で、いつ嵐に見舞われてもおかしくなかった。氷河期の前、この地での生活はどんなだったのだろうかと、彼はよく思いを馳せていた。かつては人間とモンスターが地上で平和に暮らしていたのだ。
母親がよく読み聞かせてくれた「ヘゾとモナン」のおとぎ話を思い出した。ニューシティの子供なら誰もが知っているおやすみ話だった。
もしあの天候さえなければ、こんなことにはならなかったかもしれない、とフレームは思った。大地が冷え切らなければ、皆に温もりを与える場所が残っていたはずだった。誰にでも行き渡る花のある世界──楽園。
雲が彼らの横を流れていった。空は今のところ、彼らに味方してくれているようだった。青空が、南のバンカーまでの旅路を守るかのように、彼らの命を保証してくれていた。
「クエロの顔、ほんとに残念だよね。」ディリーはため息をついた。「雷のせいで台無しになっちゃった。あんなにハンサムだったのに!あのカッチリした輪郭、まるで大理石から削り出したみたいな横顔……それに、あの仏頂面の寝室みたいな目つき……はあ〜、本当に惜しい!」
モスがニヤリと笑った。「でも、お前って傷跡フェチだろ。」
ディリーは一瞬黙り込んだ。忘れていたかのように。
「そうだった!」彼女は手を一度叩いて言った。「そうだよね!そのほうがむしろセクシーじゃん!きっと胸にも傷あるよ、腹筋を横断して、もっと下の方まで……」
「今ラヴァットがいたら、間違いなくお前の耳を引っ張ってただろうな。」
そう言ったフレームの胸には、突然深い悲しみが押し寄せた。ラヴァット。
ディリーとモスも、戦死した仲間のことを思い出していた。誰もがしばらく口を閉ざした。
「彼、笑うとえくぼができたよね。ラヴァットって、本当にかわいかった。」
ようやくディリーが口を開いた。
フレームは、ラヴァットがよく語っていた夜のことを思い出した。彼はいつも地上を探検したいと夢見ていた。狩猟竜になったのも、氷の向こうにある世界を知りたかったから。空を、太陽を、月を見たかっただけだった。星の下で眠りたかったのだ。
「いつか、俺たちがラヴァットの夢を叶える。」モスは言った。「それが、俺たちにできる弔いだ。」