第44話 (2/3)
「それで、本当に目を覚まさないの?」と、ジモンは暖かいテントの中に運び込まれ、簡易ベッドに寝かされた意識不明の男を見つめながら尋ねた。
アサノ医師はパブロンさんを毛布で覆った。「12時間ごとにこれを与えれば、目を覚ますことはないよ。」彼はポケットから小瓶を取り出した。「注射する必要はない。時間通りに飲ませれば口からで十分だ。お茶に混ぜて飲ませるのが一番だな。」
フレームの視線は、隣の簡易ベッドで眠る国家魔法使いさんに向けられていた。「彼女には効かないんじゃないのか?」
「彼女の再生能力を使うには、意識があることが前提だと思われる。そうでなければ、あの落雷からとっくに回復しているはずだ。だから眠らせておけば安全だろう」とアサノは推測した。「だが、もし痛みを与えたら目を覚ます可能性がある。だから、彼女には細心の注意を払って接するべきだ。」
「起こすときまではな。」フレームが小声で言った。
「話し合ったことを忘れるな。」と、モスが鋭く彼を睨んだ。「彼女は我々の切り札だ。」
「現在、第三国家魔法使いさんの所在は不明だ。」と海野が言った。「早く居場所に関する情報が得られるといいのだが。」
「それが次の問題よ。」ジモンは金髪を揺らして結び直した。「もし見つからなかったら、どうするの?」
海野は開いた手のひらをじっと見つめ、それから拳を握りしめた。「必ず見つける。」
その間ずっと、ディリーはゴドに寄りかかってテントの床に座り、退屈そうにたてがみを撫でていた。「じゃあ、出発してもいい?」
別れ際、彼らは順番にしっかりと抱き合った。任務が成功するかどうか分からなかったため、その抱擁には力がこもっていた。
ディリーが海野の前に立ったとき、こう言った。「次はまたヒヤシンスを食べたいな。」
海野は微笑んだ。「作ってあげる。」