第38話 (1/3)
フレームは自分の耳を疑った。聞き間違いだと思いたかった。そんなはずがない!彼は――死んだはずじゃなかったのか?
「ゴド……?」フレームは信じられない声で叫んだ。「ゴド?君なのか?」
1頭のユニコーンが群れをかき分け、柵の前までやってきた。深い黒の瞳がフレームの魂をまっすぐに見つめる。
「君だったのか。」とユニコーンは言った。「君は本当にここにいる。」その声は間違えようがなかった。その瞬間、フレームには疑う余地がなくなった。
「君は……モンスターに……」彼はその大きな体を目を見開いて見つめた。ひづめ、長い脚、絹のような毛並み、そして額から突き出た鋭い角。
「それに、君には僕の声が聞こえるんだな!」とユニコーンは返した。「おい、ブロ、泣いちまうよ!俺、もうサラミになるんだと思ってたんだぜ!」
「フレーム! どうすんのよ、早くして!」ディリーが再び小声で呼んだ。
フレームはこれまでの人生で、これほど確信を持ったことはなかった。
このモンスターの話し方、動き、言葉の選び方、目つき――彼だった。
フレームは柵の鍵を外し、開け放った。「一緒に来い!ここから出るんだ!」
「お前に会えて、どれだけ嬉しいか分かんねぇよー!」とゴドは叫びながら、彼の後をついて出口へ向かった。
外には馬車が待っていた。百四――ディリーの旅行ドラゴン。
その背中には白い屋根付きの車体がくくりつけられ、金の華やかな模様があしらわれていた。
ディリーは鞍にまたがり、アサノは車内へ乗り込んだ。位置を整えると、彼女は焦った様子でフレームの方へ手を振った。「早く乗って!てか、そのユニコーンどうすんのよ?!」
「集合場所を教えて!先に飛んでて。俺もすぐ行く!」
「嘘でしょ!? ここに置いてけるわけないでしょ!?」とディリーは叫んだ。
「集合場所!」とフレームは繰り返した。
彼女は大きく息を吐いた。「クリスタルの洞窟よ。場所は海野が知ってるって言ってたでしょ?」
「ありがとう。」フレームは微笑み、彼女のドラゴンの鼻筋を優しくなでた。「また後でな。」
渋々ながら、ディリーは騎竜を飛び立たせた。
フレームはゴドの方を向き、その背に飛び乗った。「重かったらごめんな。」とフレームは首筋を軽く叩いた。「さあ、逃げよう。」