第36話 (2/6)
現在
叫び声がフレームを目覚めさせた。
何百もの声が耳をつんざくように響き、その一つ一つが切実で、絶望に満ちていた。ギラギラとしたネオンライトが彼の目を焼いた。
ぼやけていた輪郭が少しずつはっきりとした形になり、フレームは石のベンチにしゃがみ込み、コンクリートの壁にもたれながら、鉄格子越しに工業施設を見つめていた。
怒声の嵐は耳をつんざくほどの騒がしさだった。
彼は思わず耳をふさぐ。
「大丈夫ですか?」
フレームは左に顔を向けた。
そこには白衣を着た男性が座っていた。眼鏡をかけ、無精ひげを生やし、優しげな目をしていた。コバルトブルーの長い髪を一本のバンドでまとめ、肩にしっとりと垂らしている。
その男の存在も、この牢屋にいるという事実も、フレームを混乱させた。「ここは……どこですか?」
「私にも分かりません。」
「どうやってここに来たんです?」
男の穏やかな目が、どこか疲れたように翳った。「たぶん、君と同じだよ。警備員に自宅の前で捕まって、ここに連れてこられた。」
フレームは思い出そうとしたが、囲まれた瞬間からの記憶がぷっつりと途切れていた。彼は立ち上がり、格子のそばに歩み寄る。
手すり越しに下を覗いたその瞬間、叫び声の正体に気づいた。
数十頭のユニコーンたちが、下の囲いの中でひしめき合っていた。
彼らの牢があるのは二階部分で、地上の厩舎と、その周囲の壁沿いに並ぶ対面式の監房がよく見えた。階全体が留置場だった。対面の監房は空だった。足元の血痕が、ここがかつて空でなかったことを示していた。
いまだ耳をふさいだまま、フレームは隣の男に向き直った。「あなたの名前は?」
「アサノといいます。」
「まさか……アサノ博士?」
アサノは何かを答えようとしたが、その瞬間、音が聞こえて口を閉じた。
足音が近づいてきた。
やがて、一人の警備員が彼らの牢の前に立ち、鍵を取り出して小さな受け渡し口を開けた。
彼の影の中から、別の人影が現れる。ネオンライトがその顔を照らした瞬間、フレームは言葉を失った。
アサノは声を出した。「ウィンチェスターさん……?」