第35話 (3/6)
現在
フェニックスの太陽が昇る光の中で、赤い線が輝いていた。まるで黒と白の木骨造の家が血を流しているかのようだった。赤い線は白い格子窓を縁取り、アーチ状のピラスターをなぞり、尖った切妻屋根の輪郭を強調していた。
リサレは木の梁を見上げ、見張り塔のような屋根裏のドーマーで終わる出窓を見つめた。暗いスレートの瓦が壁を覆い、梁の間に半円形の装飾を描くように垂れていた。この古い家は、本来なら美しいと言えたかもしれない。
もしこの家の住人が、二度とここに戻れない運命に囚われていなければ。
ハリエット・ヒルベリー――第三の国家魔法使い。今日が彼女の最後の任務の日になる。ただし、それを彼女自身はまだ知らない。
リサレの瞼は重く、今にも閉じそうだった。昨夜はよく眠れなかった。
羽のように柔らかいマットレスがあっても、暖かな毛布に包まれていても、スタージス家から治療の花を奪い、フレームの仇を討つために必要なことをすべてやり抜こうという決意があっても。
フェニックス邸のどんな快適なベッドであっても、闇の迷宮の硬い地面の上で彼女が失ったものを取り戻すことはできなかった。リサレの眠りは記憶によって壊され、永遠に変わってしまった。安らかな夜など、もはや訪れることはない。再び……彼女の目にフレームの幻影が浮かぶ。彼は出窓を支える柱の前に立ち、首を横に振っていた。
「行くぞ。」ルディが彼女の横を通り抜け、幻影の中を突っ切り、アーチの下をくぐって玄関へと進む。
リサレもその後に続き、フレームの幻影は彼女の接触によって砕け散った。
ルディは工具を取り出し、わずか二つの動作でこの多層建ての建物の扉をこじ開けた。階段の空気は酢のような匂いが漂っており、つい最近清掃されたかのようだった。
二人はきしむ木の階段を一段ずつ上がっていった。
屋根裏の階まで到着すると、ルディは階段の影に身を潜め、リサレが部屋のチャイムを押した。二人はしばらくの間、静かに待った。
やがて扉が開く。
若い女性の顔が彼女たちを見つめていた。
リサレは、彼女が実年齢よりも十歳若く見えるだろうと納得した。
彼女の大きく澄んだ瞳には若々しい輝きがあった。まっすぐな長髪は苔のように緑で、毛先はベージュのチュニックの布地の上を飾るように曲線を描いていた。
ハリエットは動かない。ただ驚いたように瞬きをし、「あれ?」と声を漏らした。
言葉を発する暇もなく、リサレは腕を広げて彼女を抱きしめた。その身体に熱が宿る。ハリエットは叫ぼうとしたが、その瞬間、ルディが隠れていた場所から姿を現し、レールガンを彼女に向けて引き金を引いた。
銃声一発、彼女の頭部に命中。ハリエットは即座にリサレの腕の中で力を失った。
リサレは息を止め、倒れた体を支えるように努力した。
すべてが一瞬の出来事だった。
彼女は自分の中に何かの感情を探したが、聞こえてきたのは銃声の記憶――「パン!」という音だけだった。
ルディはピストルをしまい、鞄からマントを取り出した。「これを彼女にかけて。」
リサレは従った。
ハリエットを包み終えると、ルディは国家魔法使いを抱きかかえた。まるで花嫁のように、彼女を階段から運び出し、血を流す木組みの家の敷居を越えた。
通りの人々は好奇の目を向けた。しかし、誰もそれを犯罪とは思わなかった。ルディの警察の制服が、不当な疑念を寄せ付けなかった。通行人たちは、「また喫煙者か……」とか、「また誰かがおかしくなったんだな」といったことを呟いていた。
ルディはハリエットを警察の馬車に乗せ、自分は御者台に座った。リサレは国家魔法使いの隣に四輪の車体へと乗り込んだ。外から、手綱を鳴らす音が聞こえた。ユニコーンが駆け出し、馬車がガタンと動き始めた。
リサレの視線は、向かいのベンチに横たわる遺体に釘付けだった。「あなたが私の両親を殺したわけじゃないけど……」と、彼女は囁いた。「でももし命令されていたら、あなたは迷いなくやったでしょう。あなたは人間じゃない。道具よ。」
死体がうめいた。
うめいた?リサレは驚いて、痙攣する指を見つめた。不安になり、身を引いて叫んだ。「ルディ……?」
出発と同じくらい急に、馬車が停まった。ルディがドアを開けて頭を低くし、車内に入ってきた。彼はリサレの驚いた視線を追って、ハリエットの頭からマントをめくった。弾丸が布の上を転がり、カチ、カチと床に跳ねた。
リサレは口を開けたまま、その銃創を見つめた。血はすでに止まっていた。彼女は……
ルディは滑らかな動きでレールガンを取り出し、引き金を引いた。発砲音が響いた。
国家魔法使いの震えが止まった。ベンチに静かに横たわり、血がクッションを染めていった。
「な、なに……?」リサレは唖然として彼と撃たれた女の間を見比べた。「彼女は死んだの?」
「いや。」ルディはピストルをホルスターにしまった。「早く運ばないと、また目を覚ます。」
リサレの胸に不吉な予感が湧き上がった。「……ウェザロンは、死んでるの?」
「わからない。」ルディはため息をついた。「そうであってほしい。」
彼女の視線は彼に貼りついた。
「俺たちはまだ、国家魔法使いをどうやって殺せばいいのか分かってないんだ。」彼は言った。「少なくとも、効果的な方法は。」
リサレはハリエットの苔のような緑の髪と、先でくるんとした毛先を見つめた。「だから彼女が必要なのね。調べるために。」
「そうだ。」彼の声はかすれていた。
「いいわ。」リサレは深く息を吸った。「約束は守ってよ。」
「君のために、全員殺すよ。」ルディは低くそう言い、車内を出て御者台に戻っていった。