第34話 (5/12)
こうして、数時間後にルディはウェザロンの部屋のドアをノックしていた。
「今、俺はいない!」中から声が聞こえた。
ルディはドアを開けた。「誰もいないなら、入ってもいいよね。」
「なんだ、お前か。」ウェザロンは机から立ち上がった。机の上には紙で折られた花やいろいろな幾何学模様が並んでいた。
ルディは丁寧に折り畳まれた紙の作品を眺めた。「これ、何を作ってるの?」
「風車だよ。」ウェザロンは、四枚羽のついた棒を手に取った。強く息を吹きかけると、羽が回り出し、中心のボタンが光り始めた。
ルディは目を丸くしてその新しいおもちゃを見つめた。「これ、魔法?」
ウェザロンは笑った。「違うよ、電気だ。」
「同じようなもんじゃない?」
「それはお前の方が詳しいんじゃないか?」
ルディは照れたように笑った。「発電所の人たちがちゃんとわかってれば、それで十分だよ。」彼は風車を手に取り、自分でも息を吹きかけた。「作り方、教えてくれる?」
「いいよ。」ウェザロンは引き出しから紙の束とワイヤーを取り出した。「でも、それが目的じゃないんだろ?」
「うん。」ルディは空いている椅子に座った。「オミオのことなんだ。」
ウェザロンは目をそらした。「やっぱりな。じゃあ、さっさと『悲観的になるな』って言って、出て行ってくれ。」
ルディはため息をついた。「君は悲観的なんかじゃないよ。」
「園香はそう思ってないみたいだけど。」
「ただ、君たちに仲直りしてほしいだけだよ。」
ウェザロンは紙を切り、ルディに四枚渡した。「園香は、俺が問題だって思ってる。俺さえ普通になれば、全部うまくいくって。でも、違うんだ。俺がどうしようと、何を言おうと関係ない。オミオが家の伝統を守るなら、結局、どのみち死ぬんだ。それも、今の地上の状況を考えたら、そう遠くない未来に。問題は、俺じゃない。それが現実だ。」
ルディは黙って、渡された紙を羽根の形に折っていった。
「オミオが言うみたいに、本当に俺が必要ないなら、将来俺が医者になっても、絶対に病院になんか来るなよ!」ウェザロンはワイヤーカッターを手に取り、スプールからワイヤーを切り取った。
「僕も怖いよ」とルディは打ち明けた。「きっと、オミオも怖がってると思う。」
「絶対に違う!」ウェザロンは言い切った。「パブロン家には、危険を察知する脳細胞なんて最初からないんだ。」
ルディは手にした折りたたまれた羽根を見つめた。「そんなことないって、わかってるだろ。」
「オミオは何も怖がらないんだ。」ウェザロンは言い張った。「あいつが人生で一番恐れてるのは、昼飯に肉が出ないことくらいだ。」
「そう思わせたいだけで、本当は違うよ。」ルディはボタンを指差した。「これ、もう貼っていい?」
「いや、まだワイヤーがいる。」ウェザロンは一本渡した。
ルディはボタンにワイヤーを通した。
「もしオミオが家族に逆らって、入隊を拒否したら……」
「その後どうなるか、わかってる。」
悲しげに、ウェザロンは羽根を軸に取り付けた。「でも、もしずっと怖かったのに……それでも頑張ってたなら……」
彼は深くため息をついた。「……俺、最低な友達だ。」
「君が守りたかっただけだって、わかってるよ。」ルディは言った。「園香も、僕も。」
「オミオは最初から自分と闘ってたのに、俺はそれに追い打ちをかけたんだ……」
ウェザロンは、しおれた花みたいに顔を落とした。
「そりゃ、俺なんか要らないって思われるわけだ。」
「そんなつもりで言ったわけじゃないと思う。」ルディは言った。
「君の意見を大事に思ってるから、ショックだったんだと思う。だって君は、ほとんど間違えないから……君に信じてもらえたら、オミオももっと自信を持てるはずだよ。」ルディは完成した風車を手に取り、羽根に息を吹きかけた。真ん中の小さなランプがぱっと光った。「少なくとも、僕はそうだよ。」ルディは微笑んだ。
ウェザロンも、微笑み返した。
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その夜、ルディは心温まる気持ちで家路についた。
だが、それは祖母に出くわした瞬間に打ち砕かれた。
彼女はルディの手から風車を奪い取った。
「これはどこから来たの?」
ルディは祖母の足元を見つめた。「ウェザロンから……」
「正気の沙汰じゃない!」レジーナは小声で毒づき、それから声を張り上げてルディの父を呼んだ。「マイケル!」