第34話 (3/12)
3年後
14,600年
光の時 82日目
「そんなこと、君にはできないよ!」
「できるに決まってるだろ!僕はパブロンさんだよ?やりたいことは全部やるさ!」ウェザロンが唸り声をあげ、オミオはむっとして腕を胸の前で組んだ。
口論はすでに15分も続いており、ルディや園香が何を言っても、ふたりの怒りは一向に収まる気配がなかった。
「お前の棺桶なんて選びたくないんだよ!」ウェザロンが歯ぎしりをした。「あの地上での出来事を忘れたのかよ!俺たち、死ぬ寸前だったんだぞ?またあそこへ行こうなんて、正気じゃない!」
「びびりめ!」オミオが言い返した。「ま、無理もないか。だってお前は氷竜を倒してないもんな!」
「運がよかっただけだろ!園香が竜の注意を逸らしてなかったら……!」
「違うね、実力だよ!」オミオは胸に指を当てた。「僕は撃つと決めて、撃ったんだ。撃たないという選択肢だってあったし、外す可能性もあった。でも、僕は命中させた。しかも二発!だからこそ、みんな生きてる。それはお前の手柄じゃない。」
ウェザロンはしばらく言葉を失い、口を開いたままオミオを見つめた。「……マジで言ってるのか? 地上に行こうって言い出したのはお前だろ!俺は最初から反対だったんだぞ!お前のせいで、あんな危険な目に遭ったんだ!」
「ひとつ目、それは事実じゃない!ふたつ目、お前は無理に来たわけじゃない!むしろ、いないほうがマシだったよ!」
「はぁ?」ウェザロンの声が震え、泣きそうな気配が混じった。「だったらさっさと、その自殺部隊にでも入ればいいさ!」
彼はサロンを飛び出し、扉をバタンと閉めた。
園香が立ち上がって、その後を追った。
残されたのはルディとオミオのふたりだけ。
「なあ……」ルディが慎重に口を開いた。「きっと、あいつも心配して言ったんだと思うよ……言い方はともかく……」
「分かってるよ。」オミオは鼻を鳴らした。「あいつは僕ができないって思ってるんだ。」
ルディには、それ以上返す言葉が見つからなかった。