第33話 (12/15)
「ピーター・スタージスは、オレたち全員に嘘をついてた。」リサレがみんなに自分の話を語り終えると、ネオンがそうまとめた。「奴は、人々が病気のままでいるよう仕向けてるんだ。」
「でも、なんのためにそんなことを……?」そう尋ねたのは、もう一人の病を患う子――フリドリンだった。
日に日に、その角のような突起は鋭くなってきている。
「彼って、医者なんでしょ? 意味がわかんないよ。」
「さあな。」ネオンは肩をすくめた。
「でも一つだけ確かなのは、あの庭の花には、人を癒す力があるってこと。それを、奴とその一族が独り占めしてるってことだ。」
「だったらさ、また入り込んでさ、できるだけたくさん花を持ち帰って……病気の人に配ろうよ!」と、ある子どもが提案した。
ネオンは首を横に振った。「それは無理だ。オレ、帰るときに換気口の蓋閉め忘れたんだよね。だから、たぶんもうバレてる。今頃、溶接して塞いでるんじゃない?」
「でも、じゃあ他にどうすれば……?」
「警察に言おう。」ネオンがきっぱりと答えた。
リサレは鼻で笑った。「私があんたに話したときみたいに? 証拠がなかったら、誰も信じてくれないよ。」
ネオンの口元がニヤリと吊り上がる。「じゃあ、ちょうどいいね。ちゃんと一つ、手札が残ってるから。」そう言って、彼はポケットからもう一輪、癒しの花を取り出した。
みんなが目を見張る。
銀色の花びらが太陽の光を反射する。
「何本、盗んだの……?」リサレが聞いた。
「これが最後。フリドリンの分さ……これで、十分なはずだ。」ネオンは花冠を高く掲げ、フェニックスの太陽にかざした。
その光を浴びながら――
リサレは初めて、心の底から大きな希望を感じていた。
ネオンと、仲間たちと一緒ならきっとできる。
スタージス家の隠し事を暴いて、病に苦しむ人々を救えるかもしれない――と。