第33話 (11/15)
次の日、リサレは一日中、孤児院の自分の新しいベッドにうずくまりながら、ひとりで過ごすつもりだった。
――そのつもりだった。
だが、その計画はあっけなく中断された。
誰かが、彼女の掛け布団を引き剥がしたのだ。
「何すんのよ!」
怒って蹴りを入れようとしたその瞬間、相手がネオンだと気づく。
彼はどこか寂しげに、それでも笑って言った。「ちょっと来て。」
リサレはネオンの後を追って、建物の裏手へと向かった。
そこには、すでに彼の盗賊団の仲間たちが全員集まっていて、ビッツィーを中心にして円を作って座っていた。
ビッツィーは両手で一輪の花を持っていた。
リサレの目が、まん丸のスノードームのように見開かれる。「それって……!」
「君の言った通りだったよ。」ネオンは青い髪に手を通しながら言った。
「でも……どうやって手に入れたの!?」
彼はいたずらっぽく笑う。「もう忘れたの? 君が話してるのはニューシティで一番腕の立つ盗賊たちだよ?しかも、君の説明がすごく細かかったからさ。誰にも見つからなかったしね。」
「……すごい。」リサレは感嘆の息をもらした。
「次は、他のことも本当かどうか、試してみよう。」
ネオンが円の中を見やり、彼女もみんなと一緒に腰を下ろした。
ビッツィーは手にしていた花の頭を口に運び、パクリと噛み切った。
それを飲み込むと、子どもたちの視線が一斉に彼女へと注がれる。
次の瞬間――
ビッツィーの腕に広がっていた粘ついた糸状の病の痕が、ふわりと剥がれ始めた。
砂のように、ぽろぽろと肌から崩れ落ちていった。