第32話 (3/6)
きっと、彼らは真実にたどり着くだろう。
フレームが城に足を踏み入れたとき、そこはもはや彼の知る場所ではなかった。
濃密な煙がエントランスホールを埋め尽くし、視界は一メートル先すら見えない。
焦げたような匂いが鼻をつく。
彼の防毒マスクは、常に一酸化炭素を含んだ空気をろ過し、窒息を防いでいた。
だが、何よりも変わっていたのは、ホールに差し込む高いアーチ窓の向こうを漂っていた存在だった。
何百もの霧のような怪物たちが、煙の中から現れてはまた消えていく。
「幽霊だ……」海野がその霧の塊をそう呼んだ。「でも、なんでここに?しかもこんなに大量に?」
「どうでもいい。」エンギノがサンダーガンを抜き放ち、駆け出す。
彼は一体の霧の球体の中心に向かってフックを放った。
それに触れた瞬間、彼は電流を走らせる。
ボタンを押すと同時に、実体を持たないはずの怪物は灰となって四散した。
幽霊の悲鳴が爆発音にかき消されていく。
フレームは唇を噛んだ。
どうにかしてこの霧の中をさまようモンスターたちを助けたい。
猟師たちの標的にされ、逃げ場のない彼らを。
彼はステンドグラスのひとつを見上げ、天井へと視線を移す。
すぐに決意を固め、エンターフックで吊り下がったシャンデリアのひとつを狙って撃ち込んだ。
そして、そのまま身体を引き上げる。
到達した直後、一体の幽霊が彼めがけて突進してきた。
その顔には三つの穴が開いていた――空っぽの眼窩と、裂けた口。
まるで綿菓子のように、その雲のような体から引き裂かれてできたものだった。
フレームはその幽霊に何か呼びかけようとした。
だが、怪物は激昂しており、さらに速度を上げ――
そのまま彼の身体へと突っ込んできた。
バランスを崩したフレームは、空中から落下する。
そして、意識が遠のいた。
気づけば彼は、まったく別の場所、別の時代に立っていた。