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第30話 (3/4)

 

 現在


 フレームは突然、目を見開いた。

 大きく息を吸い込む。

 皮膚がビリビリと痺れて、まるで電流が走っているかのようだった。

 彼は昔の自分のベッドに横たわっており、足元にはアラナが座って彼を見守っていた。

 フレームは自分の手と腕を見つめた。

 銀の糸は一本もなかった。

 額に手を当てる。なめらかだった。

 角も、腫れも、痕跡すらなかった。

「どうして……こんなことが……?」

「それは、こっちが聞きたいくらいよ」とアラナが答えた。「でも、あなたの彼女が言ってたわ。症状が完全に消えるには、まだ少しかかるって。」

「彼女はどこ?」

「今は寝てるわ。ここに泊まっていいって、私が言ったの。」

「ありがとう。」

 アラナは水の入ったグラスを差し出した。

 彼はそれを受け取り、中をじっと見つめた。「ヴァヴァリーは元気にしてる?」

「引っ越してからは、あんたと同じくらいしか顔出さないわね。」

「そっか」彼は一口、水を飲んだ。

「お母さんの代わりにはなれないって分かってる」とアラナが突然口を開いた。「でも、だからって、あんたのことを愛してないわけじゃないのよ。いつでも帰ってきていいの。お父さんと何かあっても、私がいる。あんたは一人じゃない。分かる?」

 彼の手が震え始めた。弱っているせいか、それとも彼女の言葉が心に響いたせいか、自分でも分からなかった。

 アラナは続けた。「あの時、何も言えなくてごめんね。まさか、あんなことになるなんて……テロンは、あんたにあれを無理にやらせるべきじゃなかった。でも、彼もあんたのことを本当に心配してたのよ。私だって心配だった。あんた、すごく痩せてたし、怖かった……。でも、それからのあんたは、まるで別人だった。その日、何かが死んじゃったみたいだった。本当にごめん。許してね」

 フレームは天井の電飾を見上げた。「お願いがあるんだけど。」

 アラナは期待するように彼を見つめた。

「僕の病気と、治療薬のこと……誰にも言わないでくれない?」

 アラナは静かに目を閉じた。「もちろん。」

 彼の視線が彼女の首元に落ちた。「それ……どうしたの?」

 彼女はキャラメル色の三つ編みを肩の後ろにずらして、うなじを見せた。「ああ、これ? ただの湿疹よ。」

 赤い発疹が広がっており、まるで火傷のように肌が荒れていた。

「病院、行ってくれよ。」フレームが言った。「お願いだから。」

「行くわよ。」アラナは微笑んだ。


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