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第30話 (2/4)
10年前
14695年
光の季節 第90日目
フレームは、本当はダメだと分かっていながらも、テロンの後をこっそりつけていた。
病院の窓から中を覗き、父が母エノリアの病室を訪れる様子を見つめていた。
あの光景は、一生忘れられない。
ベッドに横たわるエノリアの身体は、全身があの銀色で透明な糸状の膜に覆われ、額には角が生えていた。彼女は眠っていた。
テロンは泣き出した。背を向け、病室の壁に顔を伏せる。
フレームの胸がざわめく。
父は病室を後にした。
本当に眠っていたのだろうか?
フレームには、もう分からなかった。
その時、不意に彼女の胸が大きくせり上がった。まるで十字の形に膨れ上がるように――
フレームは母を凝視した。
次の瞬間、彼女の身体は真っ二つに裂けた。
血飛沫が窓を染めた。
フレームは、恐怖のあまり必死でその場から逃げ出した。