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魔物に育てられたこども  作者: 酒のムニエル
8/10

ニンゲンとの出会い

 


「ねぇ、どうしよう!!!早くルゥを助けに行かないと!」


 ハピィがケルベロスを急かす。

 ミラは不安そうにずっと震えている。


「「「急いでるよー!!!」」」


ケルベロスは鳴き声を上げながら、森の中をぐるっと回って反対側の湖を目指していた。






 一方その頃ルゥは……


 湖で反対に降り立った先にニンゲンの子供がいるのに戸惑っていた。


「私と同い年ぐらい……かな」


 そのうちの一人の金髪の男の子が何かこちらに向かって叫んでいるが、ルゥには全く通じていなかった。


「それより、お腹すいたな……。あの子が持っているのなんだろう」


 フィンがもっているおにぎりにルゥは釘付けだった。


「あの三角のやつ初めて見た…食べ物かな?気になる…」


「それよりここからどうやって戻ろう……」


 ルゥは色々考えながらも、ずっとおにぎりに釘付けで子供達に反応はしなかった。


「「「ルゥ!!!」」」


 ケルベロスの声が森の中から聞こえる。


「わ。きてくれたの!」


 ルゥがケルベロスに目を向けると、子供達の中で一番大きい子がケルベロスに剣を向けている。


 慌ててルゥがケルベロスの前に立つ。


「やめて急になにするの!」


 ルゥが叫ぶが彼らには通じていないようだった。


「こいつら人間??ルゥ危ないよ早く帰ろう」


 ケルベロスの中に隠れながらハピィが話かけてくる。


 突然、剣を向けてた男の子が離れて、さっきの黒髪の子がルゥの前に何かを差し出してきた。


「あれ…なんだろ?武器ではないよね…?」


「わあああ!!」


 ハピィがミラと降りてくる。


「あれあれあれえ!食べたかった果物!…ねぇルゥお願いあれ受け取ってきてえ…」


 ハピィがうるうるした瞳でルゥを見てくる。ミラも何も言わないがすごく食べたそうにしている。


「しかたないかぁ…果物くれるってことはいい人かもだし。ケルベロスも唸らなくて大丈夫だよ!」


「「「わかった!!くだもの食べたい!!!」


 ルゥは恐る恐る男の子から受け取る。


「あれ、でもこんな小さいの1個じゃ足りないよね……」


 そう呟くと、今度は男の子が何かを言っているようだ。

 ルゥには全然聞き取れない。


 男の子が突然指で1をだしてきた。


「ん…?1個で足りるかってことかな…?」


 ルゥは果物を指さしてこう言った。


「あと5個欲しい!」


 男の子は一瞬驚いた顔を見せたがどうやら伝わってようで、笑いながら頷くと湖の方へ走っていった。


「変な子だと思われたかな…」


 男の子はすぐに果物を5個とってきてくれた。


「わ。本当に伝わった!ありがとう!!」


 通じないと思ったがルゥは一応お礼をいうとすぐケルベロスに乗り家に急いで帰った。



「早く食べたいね!!」


「皮、むくのかな?かたいもんね」


 程なくして、森を抜けルゥとトロ爺の家まで戻ってきた。


「な…なんかさ、嫌な予感しない?」


 ルゥがミラに目配せをする。

 ミラはケルベロスの毛にうまく隠れると無言を貫いた。

 家の玄関の前には、トロ爺とケルベロスの兄、オルトロス。…そしてガーゴイルまでいるのだ。


「えっと、ただいま…?」


「ルゥ!!!!大丈夫じゃったか!??」


 トロ爺が駆け寄ってくる。


「あんだけ、湖には行くなと言ったじゃろ!!……ガーゴイルがいなかったら」


「え?」


「いや、なんでもない。全く無事でよかった」


 トロ爺は頭をゆっくり撫でてくれる。ふと、冷静になると言葉の通じない人間とさっきまで顔を合わせていたのがとても怖くなった。どうやら、ハピィもミラも同じようで、泣きそうになっている。

 それを察したのか、オルトロスがゆっくりと近づいてきてルゥの背中を支えるようにゆっくり座った。


「まぁ、お説教は明日かな。今日はせっかくとれた果物なんだ。おいしく食べてゆっくり寝なよ」


 ルゥは家の中で果物を食べながら、湖で出会った男の子のことを思い出していた。


「人間怖かった……けどあの子はあんまり怖くなかったな」








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