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魔物に育てられたこども  作者: 酒のムニエル
3/10

魔物の友達

 


「トロじぃー、おはよー?」


 肩までのふわふわのシルバーグレーの髪にまんまるの紫の瞳。

 あの時の赤ん坊———ルゥは、もう一人で歩けるまでに成長していた。


 ルゥは小さな体で一生懸命ベッドへ登ると、まだ寝ているトロール爺さんの白い髭を引っ張り始める。


「ルゥ、もう起きたのか。早起きじゃの」


 トロ爺は、髭を引っ張られながらも優しくルゥの頭を撫でてあげる。そばの机に置いてあったメガネに手を伸ばすと、ゆっくりと起き上がった。


「朝ごはんは何にするかい?」


「んー今日はね、果物食べたい」


「果物か、何か残ってたかの。見に行こうか」


 ベッドから降りたその時、家の外が騒がしくなる。


「「「ルゥー、あーそーぼー」」」


「あ。ケルベロスだ!!」


 ルゥが急いで玄関に向かうと、3匹の頭がついたケルベロスが嬉しそうに1本の尻尾を振ってる。


「おはよー、けるべろすー」


 1匹ずつ頭を撫でてあげるととても嬉しそうだ。


「「「おみやげ、もってきたー!!!」」」


 葉っぱに包まれた、果物を加えていた。


「わ、果物。ありがと!!食べたかったの。一緒に朝ごはんにしよ」


 庭にある椅子とテーブルに腰掛けると、ケルベロスがそばに腰を下ろす。

 ちょうど、トロ爺がミルクのたっぷり入ったコップと、ケルベロス用にお皿に入ったミルクを3つ持ってきてくれた。


「今日もケルベロスと遊びに行くのかい?」


「ん。そのつもり!」


 果物を口いっぱいに頬張りながら、ルゥは答えた。


「気をつけて遊ぶんだよ、あまり遠くに入っちゃダメだからね」


「はーい、気を付ける」


 ケルベロスたちは先に食べ終わると、森の方へ走り出してしまった。

 ルゥも負けじと果物とミルクを口に頬張ると、慌ててケルベロスの後を追う。


「ちゃんと、片付けもしないとダメだぞ」


 トロ爺の一言でルゥは慌てて戻り、ケルベロスと自分の皿をキッチンへ運んだ。


「じゃあ、いってくるーお昼は森で食べてくる!」


 ルゥはケルベロスにまたがると森の中へ消えていった。


「魔物との暮らしにあんなに馴染むとはなぁ……」


 トロ爺は、少し呆れながらも嬉しそうに笑っていた。





「ねぇ、ケルベロス、今日は何する?」


「「「かけっこは???」」」


「えぇ、かけっこケルベロス早すぎるんだもん、かくれんぼにしよー」


「「「ルゥかくれるじょうず!!!」」」


 森の中でルゥをおろすとケルベロスは地面に伏せて目を閉じた。かくれんぼの始まりの合図だ。



「んー今日はどうしようかなぁ……」


 ルゥは隠れ場所を探しながら歩いた。

 大きな木の株の周りをぐるっと回っている時に何かにぶつかる。


「「わっ」」


 尻餅をついたルゥは目を開けると、そこにはルゥと同じぐらいの背丈の女の子——ルゥは初めて見るがハーピーの姿があった。


「わぁ!!!あなたがルゥ?ルゥでしょ!!ママが話してるの聞いたことあるの!!ニンゲンの子がいるって」


「??あなたはだーれー?」


「あたしはハーピー!早く会ってみたかったの。ママはもう少し大人になってからって言われたんだけど……でも、たまたま出会ったなら運命よねっ!」


「ハピィ……?」


 あまりに勢いよく話す初めて見る種族にルゥは少し尻込みした。


「ハピィ!?何それかわいい呼び方!あたしのことハピィて呼んで!!ね?ね?おねがい!」


 少し後退りをしながらルゥは必死で頷く。


「何してるのハーピー……?」


 草陰からモゾモゾとふわふわした塊が出てきた。

 頭には一本の角と2つの長い耳——アルミラージだ。


「アルミラージ!やっと会えたの、ニンゲンのルゥに!!」


「ルゥ……さんですか?」


 おずおずと寄ってくるアルミラージはふわふわの毛に包まれていて、思わずルゥは手を伸ばし撫でていた。


「わ!仲良く慣れそうね!!そうだ、ルゥせっかくならアルミラージの呼び方もかわいいのにしてあげてよ〜!」


「ア…ル……ミラ??」


 あまりに早く話すハーピーについていけず、ルゥは聞き返す。


「ミラ!!!ミラってかわいいー!!」


 そんなのはお構いなしに、ハピィはどんどん勘違いと聞き間違いを加速させていった。

 少し置いてけぼりになっている、アルミラージ——ミラとルゥは顔を見合わせてふふッと笑った。



「ルゥも、ミラも可愛い〜〜!!」


 きゃーとはしゃぐ3匹の背後から何か大きな魔物が少しずつ近づいていた。




アルミラージ、もふもふ可愛い

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