第一話 プロローグ
初めまして、皇 百です。
男の娘×幼馴染というコンセプトで書いたラブコメとなっています。
ちなみにこの作品ですが、
主人公(男の娘)パート
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ヒーロー(幼馴染)パート
というような書き方になっているので、片方だけ読むという読み方も出来ます。
二度美味しいですね。
この話だけは全部読んだ方が良いかもですが。
一話辺り3000字ベースでしばらくは毎日投稿しようかなと考えています。
ブクマ登録や応援コメ、ポイント(?)的なやつ頂けたらモチベ上がってワンチャン一日二話投稿いけるかもしれないです。
さて、前置きが長くなりましたが、本編を楽しんで頂けると幸いです。
僕、神崎 苿結ですが、本日から私になろうと思います。
何を言ってるか分からないと思いますが、僕にも良く分かりません。
何故なら今鏡の向こうには……。
――余りにも可愛くなった自分の姿があるから……。
ついでにメイク道具を手から落として放心してる幼馴染が……。
事の顛末は数十分程前に遡る。
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「よし、小鳥遊。せっかく今日が最後の春休みだ。次負けたら罰ゲームにしよう」
「はぁ? お前が俺に勝てると思ってんの?」
僕は今、幼馴染で親友の小鳥遊 理人の家で最近買った対戦型ゲームをしに来ています。
春休みの思い出が余りにも無さすぎるから小鳥遊の女装でこの春休みの締めとしよう。
「最近買ったとはいえ毎日やってるんだし少しは上手くなってるから。じゃあ罰ゲームは負けたら女装で!」
「へぇ~? やってやろうじゃん」
小鳥遊はメイクは好きじゃないどころか寧ろ嫌いなのに、現役女子高生よりもメイクには詳しい。
何で好きでもないのに詳しいのかと言うと、姉2人に散々練習台にされたのと、本当は好きなのにメイクが好きなのは男としてどうなんだというのが小鳥遊の中ではあるらしい。
こんな事を知ってるのは幼馴染の僕だけなはず。
「ぜっったい負けないから」
「かかってこいよ?」
――数分後、見事惨敗。
「おかしい! もう1回!」
「だ~め。罰ゲームとか言い出したのお前だろ? ほら、さっさとドレッサーの前座れ」
なんで僕が小鳥遊の女装を見ようとしたのに負けてんの!? 嘘だ……。負けるとは思ってなかった……。
「嫌だあああ! 絶対似合わないから! 見たくない~~~!!」
「抵抗すんなって。俺は見てみたいぞ、お前の女装。さーてどんな感じになるかな~」
ちょっと笑い堪えながら言ってるの分かってるからな! クソ……。負けたからには大人しくするか……。
「お、ようやく自分の置かれている立場を理解したな? お前に似合うようにメイクしてやるよ。あ、途中で暴れたら目にぶっ刺さるからな? 気を付けろよ」
え、急に凄い怖い事言うじゃん。鏡見たくないよ~。
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結果、僕は私になってしまった。小鳥遊のドレッサーは普段使わないので鏡に布を被せてあったけど、最後にウィッグを付けて布を外した時、二人とも余りの完成度に目を疑った。
「え……何これ……本当に僕?」
「お前のはず……なんだが……」
え、嘘……めちゃくちゃ可愛いんだけど……。
ぱっちりとした目に長いまつ毛。真っ赤な唇にすっと通った鼻筋。
誰がどう見てもさっきの僕には見えない。
苿結がバッと振り向いて小鳥遊の方を見ようとしたが、なんだか微妙に視線が合っていない。
小鳥遊は首をポリポリと掻いて神崎の方を見ようとしない。
……ん? なんで小鳥遊の顔ちょっと上向いてんだ? もしかして……。
「もしかして僕が可愛すぎて直視出来ない?」
「ばっ、んなわけねえだろ! お前は男だぞ、あり得ん!」
へえ~? 恥ずかしがっちゃって。ほれほれ~、どうだ、僕の顔を見ろよ~。
小鳥遊に対する嫌がらせの如く視界に入ろうとする苿結。
どうやら小鳥遊も観念したようで。
「だあもう! 分かった、可愛いから! 許してくれ!」
「かわっ!?」
まさか本当に可愛いなんて言われると思ってなかったため、帰ってきた言葉に驚く苿結。
顔を赤くしてまたバッと首を振る。
どうしよう、小鳥遊に可愛いとか言われちゃった……。
僕と違って陽キャで女子との絡みもある小鳥遊が、僕に対してあんな顔して可愛いって……。
やばい、めっちゃ嬉しい。
ん? 嬉しい?
僕は男なのに小鳥遊に可愛いって言われて嬉しいって思ってんの……?
もしかして、僕って小鳥遊の事……。
「好き……?」
あぶな! 今あまり声出てなかったから聞こえてないよね!? 聞こえてたらどうしよ……。
「な、なんだ。今なんか言ったか?」
「いや、な、何でもないよ!? 別に、小鳥遊がそんな反応すると思ってなかっただけだし……」
良かった~。聞こえてなかったみたい。
ともかくどうやら僕、いや、私は。
小鳥遊の事が好きらしい。
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どうしよう。神崎がめちゃくちゃ可愛くなった。
こんな事になるとは思ってなくて開いた口が塞がらない。
元々身長もそんなに高くなくて声も低くない中性的なやつだったから、眼鏡外してメイクすりゃ似合うとは思ってたけどここまでとは……。
正直今まで俺に告白してきたどんな女子より可愛いし、あまり目を合わせたくない。
「もしかして僕が可愛すぎて直視出来ない?」
そうだよ、可愛いよ! そのニヤケ顔やめろ! でもこいつは男だ、女じゃない。これはただの錯覚だ。神崎が可愛いだなんてそんな……。
……おいこいつどんだけ視線逸らしても入って来ようとするんだけど!?
やめてくれ! 俺は今のお前にはどうやったって勝てない!
「だあもう! 分かった、可愛いから! 許してくれ!」
「かわっ!?」
……なんだ? 急に俺と逆の方向向いて震えてるんだが……。
「――……?」
なんか手を頬に当てて言ってるな……。
まさか俺の思ってる事がばれたか!? 流石に男の幼馴染相手に可愛いはやばいよな……。
一応聞いてみるか……。
「な、なんだ。今なんか言ったか?」
「いや、な、何でもないよ!? 別に、小鳥遊がそんな反応すると思ってなかっただけだし……」
少しだけ理人の方を向いて赤らめた顔でそう告げる神崎。
何でこいつは顔が赤くなってんだ? 自分の顔見てか……?
まあ神崎は女子との関わりがあんま無いからな……。
流石に俺に対しては……無い無い。何を言っているんだ俺は。
こいつは男で俺も男。メイクして見た目が女になったからって何が変わるんだ。
急にこいつが可愛くなったから俺の脳内がパンクしちまったみたいだ……。
「取り敢えずその、なんだ。喉乾いたろ? ちょっと持ってくるわ」
「わ、分かった。……ありがと」
逃げるようにして自分の部屋を出る理人。
緊張の糸が解けたために扉を背に、滑り落ちるように座る。
そして口に手を当てて小さく呟いた。
「うっそだろ……。マジかよ……」
おかしいだろ……ちょっとメイクしてウィッグを付ける。それだけで何であんな可愛いんだよ……。
何か仕草も少し可愛くなってたし……。
いやいや、こんな事を考えるなんて神崎に失礼だ。
こんな思考やめだやめ。
「冷たいもん飲んで頭冷やすか……」
俺が神崎に対してこんな感情を持つなんて……絶対おかしい。
この日から、小鳥遊と神崎の少し普遍的なものとは逸脱した恋愛が始まった。
また会いましたね。
第一話、どうだったでしょうか。
楽しかったですか? 面白かったですか?
改善点等があればコメントして頂ければ返信致します。
今日はこんな時間に起きていたので朝に投稿しましたが夜とどちらが良いでしょうか。
私は読者に寄り添った作品を書きたいと思っているので、こんなシーンが見たい! やこんな要素が欲しい! 等の要望があればコメントして頂ければもしかしたら閑話として書くかもしれません。
今までハイファンタジーばかり書いてきてラブコメなんか一切触れてこなかったので、違和感などありましたらご指摘よろしくお願いします。
拙い文章かもしれませんが、私の作品を愛して頂けると非常に嬉しいです。
改めて、これからよろしくお願いします。