緑のアイツ
だんだんと寒くなってきた道を歩いていく。
周りにはぽつんと等間隔である街頭と小さく聞こえる鈴虫の声だけだった
俺の隣に彼女はいない…
どうしてこんなことに…
全てはあの夏
起きたあの事件のせい。
男はため息をつくと、目の前の白い空気をかき消すように走り出した。
走りながら彼は思い出すのだった
全ての元凶のあの夏の事件のことを…
美咲「ねえ、ラプラスの悪魔って知ってる?」
俺「え?」
放課後の教室の中、少しはにかみながら美咲は答える
美咲「フランスの数学者が考えたメカニズムだよ」
俺「あぁ知ってるよ!
ラプラスの悪魔とは、主に近世・近代の物理学分野で、因果律に基づいて未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在の概念。ある時点において作用している全ての力学的・物理的な状態を完全に把握・解析する能力を持つがゆえに、未来を含む宇宙の全運動までも確定的に知りえるという超人間的知性のことでしょ?(クソ早口)
そんなことよりさ…
美咲夏休みの日あの先輩の家に行ってなかった?何しに行ってたの?」
美咲「え、、、行ってないよ?」
美咲は少し目をそらす。
俺は美咲をじっと見つめながらそっとポケットから携帯を取り出し、とある動画を再生し美咲に差し出す。
美咲「!?!?」
俺「俺が知らないとでも思った?」
画面の中では先輩に犯される美咲が映っていた。
田中ドボルザーク「そこまでじゃあ!」
美咲、俺「え!?」
美咲「先輩‥なんで!?」
田中ドボルザーク「全ては俺が悪い。 美咲は乗せられただけだ」
美咲「先輩…」
俺は涙を流しながら
隠し持っていた凶器を取り出した。
美咲「俺くん…何を持っているの?」
俺「え?」
俺は家から凶器を取り間違えたようだ
男が手にしていたのは3本のアスパラガスだった
俺「くっそぉぉ!!!こうなれば!」
俺は3本のアスパラガスを中に投げ天を仰ぐ。
3本のアスパラガスが指し示すは「世界、希望、愛」
光に満ちたアスパラガスは未来とこの世の真実を映し出していた。
田中ドボルザーク「アスパラガスは宇宙…」
美咲「宇宙は私達…」
俺「共に行こう…」
3人はアスパラガスと光に包まれて行く。
だんだんと寒くなってきた道を歩いていく。
周りにはぽつんと等間隔である街頭と小さく聞こえる鈴虫の声だけだった