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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
プロローグ ~V配信者、かの地に降り立つ~
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閑話 ある夏の日の学校で

評価・ブックマークありがとうございます!

今話でプロローグが終わり、次話から本編が始まっていきます。ぜひともご覧ください(_ _)

目指せ1日1000PV


夏休みのとある日、私は学校に来ていた。まだ夏休みに入ったばかりで、むしろこれからが大会シーズンという部活動も多い。全国大会を控えている私達ダンスもその一つだ。


だからなのか、運動部も文化部もこぞって出校しており、夏休みだというのに普段と変わらない賑わいを見せている。


それにしても……



「うぁっ、もう汗ヤバッ……気持ち悪い……」



今日は朝から体力作りのランニングと筋トレで、野球部やバスケ部さながらのハードなトレーニングを行っており、汗がヤバい。


あまりにも暑いもんだから、休憩の合間に水道で顔を洗いつつ、それでもなお収まらないじめじめとした不快感から逃れようと教室に向かっていた。



だって部室にも更衣室にもエアコンなんて無いし……部活で使ってるダンススタジオには一応あるけど、部屋が大きい分効きが悪いしでどうしようもないんだよね。教室だったら今頃勉強してる人達のお陰で冷えてるだろう。


ガラガラッ



「だよなーマジで。あれは俺のミスじゃねぇってのに山センの野郎———えっ」


「えっ?」



どうやら先客がいたようだ。考えることは一緒か……。


教室にいたのは三人。

そのうちの一人、机に座って駄弁ってるのは同じクラスの神谷かみや 稜雅りょうがだ。


残り二人は見覚えはないけど、おそらく部活の後輩……一年生ってところか。たしかバスケ部だったかな。


教室に入ってきた私を見て数秒止まっていた稜雅であったが、何やら突然慌てだした。



「あっ、すっ、しっ四条加奈子っ様っ……!?」


「っふ、ちょっ……『様』って何なのよ? 笑わせないでよね」


「いやっ、その、咄嗟に出たというか何というか……」


「咄嗟に出たって……普段から私のことどう思ってるのかしら?」


「べっ、別に変な意味はねぇけど」


「そう? ならいいけど。別にクラスメイトなんだから好きに呼べばいいじゃない」


「じゃあ加奈子ちゃん……」


「それは嫌だけど」


「……四条さん」


「それでいいわ」


「……」


「…………」



「あっ! 四条先輩っ! その、今日は髪結んでいるんですねっ!」


「あぁ。これ? 今日は部活やってたし邪魔になるしね。それに、流石に暑いし」


「髪結んだ姿も凄く可愛いです!」


「そう? ふふ、ありがとう」


「「「おっふ……」」」


「?」



「お前ナイス、会話が途切れるところだった。いやマジ加奈子ちゃ……四条さん可愛すぎるだろ」(ヒソヒソ)


「いや、あの、四条先輩とクラスメイトとか羨ましすぎますよ先輩」(ヒソヒソ)


「付き合ってみてぇ……デートしてみてぇ……あーもう、好きすぎる」(ヒソヒソ)



何やら3人で顔を突き合わせて話してるけど……聞こえてるんだよなぁ。私、他の人より耳が良いんだよね。少しだけ。


……付き合うとかどうとか、今のところ興味は無いかなぁ。



「それより、あんた達今部活中じゃないの? こんなところでサボってていい訳?」


「べっ、別に? 俺ぐらいになると練習なんて必要ないし———」


「はっ? ふざけてんの?」


「「「ひぇっ」」」


「あんたさ、いっつもこれだけ練習してる私を馬鹿にしてんの?」


「えっ、いやっ、そんなつもりは———」


「じゃあ何? 自分が世界一にでもなったつもり? 地方大会にも出てないのによく言えたわね」


「っ!? 関係な———」


「無いわけないわよね。今こんな風に練習サボってるから勝てないんじゃなくて?」


「っ……」


「私はね、自分からやるって言い出したくせにやる気の無い奴が嫌いなの。本気で頑張ってる人の邪魔になるし、やる気がないなら辞めればいいじゃない」



言い返す言葉が無いのか、稜雅りょうがは顔を伏せてしまっている。一年生と思われる男子二人も怖がってしまっているのは少し可哀そうだが……エンジンがかかって来た私は止まらない。



「私は人一倍練習に励んだって言えるし、だから全国まで行ってるわ。そして、勝ちたいからまた練習する。あなたはどう? まさか、ここまで言われて何をすべきか分からないなんてこと無いわよね?」


「っ……」


「あっそう。じゃ、私はそろそろ戻るわね」



踵を返した私は、そのまま教室を後にする———直前、私の脚を止めたのは稜雅の声であった。



「くっそ! やりゃいいんだろやりゃあ! 今に見てろよ。全国でも何でも行ってお前に同じセリフ言ってやるからな! 覚えてやがれ!」



私に言われたことが相当堪えたのか、顔を真っ赤にしてそんな啖呵を切る稜雅。思ったより効果てきめんだったことに少し驚いたけど……それ以上に嬉しくて、ついつい笑いが込み上げてしまう。



「ふふ……えぇ、私はしっかり見てるわよ。応援してるわね、稜雅君?」(ウィンクパチッ)


「おっふ……」(ズキュン)



色々言っちゃったけど、これで少しでもやる気を出してくれたら万々歳ってことで。


…………私が出た後の教室から何やら咆哮が聞こえた気がするけど、さっさと練習に戻らないといけないし無視しましょうかね。



コメントや誤字報告もお待ちしていますね……

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[一言] 夢小説みたいでキチィ
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