特大の爆弾を抱えた気がする……
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「んっ、目は覚めたかの?」
「ぉわっ!?」
次の日、学校を終えた私が再びアネファンにログインすると、超至近距離にカグラ様の顔があってかなりビビった。さすがに変な声も出るって。
……と言うか、何でこういう時に『きゃあっ!』とか可愛い声が出ないんだろ……私の女子力って……。
「お主……見た目は可愛いのにおっさんくさい声を出すのぅ……」
「ちょっと気にしてるんだから言わないで下さい! 起きて早々そんな至近距離にカグラ様の顔があったら驚きますって!」
「驚いたのはこちらじゃて。梵天丸を連れ戻してこいと送り出したら、そんなものを持ち帰るとは思わなかったのじゃ」
「そんなもの?」
「なんじゃ、お主鏡を見ておらんのか?」
え、これナチュラルにディスられてます?
「乙女たる者、手鏡くらい持っておくと良いぞ。ほれ」
カグラ様がインベントリから取り出した手鏡を受け取り、覗き込む。そこに映ったのは、額と両頬にザックリと黒紫色の爪痕が刻まれた自分の顔であった。
「え、何これ……」
「女王魔蜂の刻印……どんな戦いを繰り広げたのかは知らないが、お主は奴に宿敵と認識されたようじゃな」
「いや、全然意味が分からないんだけど」
宿敵と認識すると刻印を刻むの?メンヘラなの?
あ、一応これ、『称号』枠で付与されてるのね。どれどれ……
『称号:女王魔蜂の刻印』
オマエハ我ト相対スルニ相応シイ。次ハ必ズ———
効果:レベルアップに必要な経験値とレベルアップ時に得られるステータスポイントが倍になる。昆虫系モンスターへの脅威度が大幅アップ。
えぇ……呪いですかこれ?
「必要経験値倍増ってお前ぇ……」
いや、ステータスポイントアップはありがたいか。レベリングがかなりきつくなるが、ステータスで優位を取れるのはでかい。
「女王魔蜂は原生生物の中でも生態系の頂点に立つ者じゃ。宿敵だと認識された以上、強くなって来いということじゃな」
「……原生生物って何ですか……?」
「……おっと、口を滑らせたのじゃ。聞かなかったことにしてくれ」
「ばっちり聞いちゃいましたけど?」
「……まぁ良い。原生生物とは、この星に元々生息していた生物のことじゃ。別に特別な意味は無いぞ?」
あ、そうなのね……って、ちょっと待て。わざわざ『原生生物』って括りを作ってるってことは、別の世界から来た生物も存在するってことでしょ?
ここに来てヤバい新情報出過ぎじゃない?
刻印だけでこれだぞ。
あの時のアナウンスを思い出せ。もっとヤバイのが無かったか?
カグラ様が話してるとこ申し訳ないけど、一旦ステータスチェックさせて?
『称号:鎮魂者』
効果:呪術系アビリティへの耐性アップ。被・与回復量アップ。
これは素直にありがたい。正直HPなんて1以上か0かのどちらかって感覚だから回復量アップはあんまり恩恵無いとして、バフを盛りまくって殴る戦闘スタイルである以上、呪術系……つまりデバフやバッドステータスへの耐性が付くのは歓迎だ。
……ふぅ、ここまではまだまともね。問題はここからだ。
『称号:女王蜂候補』
———未熟なる深緑の子は、ただひたすらに羽化の時を待つ———
フレーバーテキストやめいっ!
ホントこのゲーム、匂わせるだけ匂わせといて説明が何もないなんてざらにあるからなぁ。でもまぁ、持っていると何らかのフラグが立って別のクエストが発生する系の称号と見た。
ヨシッ! 次!
アビリティ:【因子】
……――――Loading――――Loading――――……
通信が妨害されました。解析結果を表示できません。
ん……? んんっ?
いやいやいや、待て待て待て待て待て待て待て!
一番ヤバいパンドラの箱を開けたかもしれない。
この剣と魔法のファンタジー世界で、私は今何と通信しようとした!?
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