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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第二章 ~蒼穹覆う黒の迦楼羅天~
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極彩色の女王 6

評価・ブックマークありがとうございます!


喰らう者(プレデター)がダウンした数秒の隙、私は【アクセルステップ】によるダッシュで女王魔蜂ディアボロヴェスパ・カラリエーヴァの下に辿り着いた。


既に満身創痍で立てない程に傷つきながらも、その覇気は一切衰えていない。アナウンスが言っていた『深緑の主』と言うのも納得だ。



……思うに、女王魔蜂ディアボロヴェスパ・カラリエーヴァも私との戦闘を楽しんでいたんじゃないかな。


どちらかと言えば、女王魔蜂ディアボロヴェスパ・カラリエーヴァの方が格上だ。それなら適当に私をあしらっておけば良くて、わざわざ私の動きを真似する必要は無いのだから。


まぁ私が予想以上にしぶとかったってのもあるとは思うけど……。

未だに闘気が衰えていないのは、変なタイミングで乱入してきたこの男に怒りを覚えているから。私もそうだしね。



正直やろうと思えば、ここで女王魔蜂ディアボロヴェスパ・カラリエーヴァを討伐することも出来るだろう。


女王魔蜂ディアボロヴェスパ・カラリエーヴァほどの強者の討伐ともなれば、かなりの経験値を見込めるだろう。



———けど、そんな後味悪いことはしない。

一対一タイマンを邪魔されるのが一番嫌いだし、他人が削ってHPが残りわずかな相手を倒してもつまらないだけだ。



だから、たとえ不利な状況になったとしても、私は私の矜持に従う。

お願いだから私に襲いかからないでね? 女王蜂さん(・・・・・)



私はインベントリからHPポーションを取り出し、躊躇うことなく女王魔蜂ディアボロヴェスパ・カラリエーヴァへと浴びせかける。私が買った中でも一番高かった割合回復のポーションだから、女王蜂さんのHPも存分に回復しただろう。


心なしか、女王蜂さんの目が見開かれたような気がした。女王蜂は複眼で瞼なんかないから気のせいなんだけどね。



「あんたもあいつにムカついてるでしょ? 私だけだと火力足りないからちょっと手伝ってくれない?」



すでにこちらに迫りつつある喰らう者(プレデター)を正面に捉えつつ、女王蜂には背中を向けて戦う気がないことをアピール。


正直に言って、女王蜂にはどうでもいい話だろう。

体力を回復した今なら、喰らう者(プレデター)など歯牙にもかけない強さだろうし、私を先に殺してから一対一タイマンで十分勝てる相手だ。



だから、ここからはもう賭けだ。女王蜂がNPCのような心を持っていることに賭けて、後ろから女王蜂に攻撃されないことを願うのみ。


けど、あぁ、もう、喰らう者(プレデター)が目の前に。覚悟を決め———



「!?」



喰らう者(プレデター)が振りかぶった拳を放つと思われたその瞬間、私の真横をひゅるりと黄色の風が通り抜ける。



直後、轟音。



【神斬舞】のノックバックすら耐えたはずの喰らう者(プレデター)の身体が冗談のように吹き飛び、木々を薙ぎ倒して砂煙を巻き上げた。


それを起こしたのは当然———



ゆったりとした所作で、数分前に私が見せたようなハイキックの体勢を戻す女王蜂の姿に、私は思わず歓喜に手を叩いた。



———『アネックス・ファンタジア』において、初めてプレイヤーとモンスターが意志疎通を成し遂げた瞬間であった。



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― 新着の感想 ―
[一言] じゃ、妖怪とそのペットはNPCとしてカウントされるんだね
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