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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第二章 ~蒼穹覆う黒の迦楼羅天~
31/300

大樹海で荒ぶるミニスカメイド 1

評価・ブックマークありがとうございます!


メガロヘラクレスがホウオウカマキリに自慢の角を叩きつけ、爆発もかくやという轟音とともに大木全体を揺らす。


それと同時、私の頭の中で戦いのゴングが鳴り響いた。



ダンサー系アビリティ『スカッフル』によってAGIにバフをかけ、大木めがけて疾駆する。


真っ先に私に気付いたオーガヴェスパは、仲間を呼んだのか3匹で私の迎撃に迫る。



「チーム組んで迎撃なんて、モンスターも頭いいじゃないっ!」



【魔纒・火】+【ワイドスラッシュ・打】!

私が振り下ろしたモップから赤色の衝撃波が放たれ、真っ直ぐにオーガヴェスパに向かっていく。


【ワイドスラッシュ】は、武器から衝撃波を飛ばして相手を攻撃する範囲攻撃アビリティである。武器を扱うジョブなら大抵入手できるオーソドックスなアビリティだが、棒術士で打・突・払を切り替えれば戦術の幅も広がるというわけだ。



「まぁ避けられたんですけどね!」



範囲攻撃とはいえ相手は飛行可能なオーガヴェスパ。アビリティの軌道を見抜いて完全にか避けた。


が、3匹だったオーガヴェスパは2匹と1匹に分断された。



【ワイドスラッシュ・打】によって分断されたオーガヴェスパのうち1匹の方は、他2匹と合流しようか一瞬の迷いが生まれる。


その瞬間を見逃さず、【棒術・打】に魔纏・火を付与した派生アビリティ、【燈火・打】を撃ち込んで沈黙させる。



直後、お尻の針を突き出して迫るオーガヴェスパに【燈火・突】を合わせてパリィし、もう一匹の軌道を塞ぎように受け流すと……



「ギィィッ!!」

「ギッ!?」



後から迫ったオーガヴェスパの針が、私にパリィされたオーガヴェスパを貫いてダメージエフェクトを散らした。


不可抗力とは言え、同胞を攻撃してしまっては混乱するだろう。



ちょっとかわいそうだけど……躊躇いなく【燈火・払】で2体を巻き込んで吹き飛ばす!


・うめぇ

・格ゲーの勝ち方も気持ちよかったけど、アネファンでも壮快だな

・カローナちゃん虫に忌避感ないのね



片方のオーガヴェスパは、相方から一撃貰っていたことも合わさって私の一撃でHPが全損する。


その相方の方も、私の投げナイフの追撃によって残りのHPを削り切った。



さすがは『ヴィクトリアン』シリーズのステアップ……。弱点属性を突いたとは言え、レベルが離れているモンスターでさえ、二撃でHPを削り切る強さだ。


さて、残るは最初に沈黙させた三体目のオーガヴェスパを———



「ギッ、ギギギギィッ!」

「ギギュッ」



おっと、やべぇ。メガロヘラクレスのヘイトがこっちに向いたか。


不機嫌そうにギチギチと鳴き声を上げ、オーガヴェスパを踏みつぶしながらメガロヘラクレスがこちらに身体を向けた。その双眸は、間違いなく私を捉えている。


3mはありそうな巨体。全身を覆う頑強な外骨格。大剣もさながらな、巨大な角。



「これ、いけるか(・・・・)? ……いや、いっちゃおう!」


・ノリ軽っ!

・この人本当に躊躇いなく行くなぁ

・オーガヴェスパの討伐がスムーズすぎて見惚れてた



ゲームは楽しんでなんぼ、勝てる気がしないだけで逃げてたら、いつまでたっても強くなれないわ!



「あ、でも素材は先に回収させてね」


「オォォォォォォォッ!」



地面を震わせるほどの雄叫びを上げたメガロヘラクレスは、羽を広げて加速し私へと突進を開始する。


けど残念、加速なら私の方が断然速いっ!



討伐したオーガヴェスパ2体分のドロップを拾い上げてインベントリに仕舞い、私もメガロヘラクレスへとスタートを切る。


スピードに乗る前のメガロヘラクレスの脇を通り抜け、【スカッフル】の効果でバフを重ねながら、踏みつぶされたオーガヴェスパを回収。



急ブレーキをかけて止まるメガロヘラクレスを視界の端で確認しながら、叩き潰されてドロップ品になっているホウオウカマキリも回収し、メガロヘラクレスとの衝突に備えて【魔纏・風】に切り替える。



「トップスピードじゃなかったくせに木を薙ぎ倒すなんて、とんでもない威力ね」



というか、下手したら角の部分に貫通効果が乗ってるのかも。簡単に言うと、触れたら一発でアウトということだ。


つまり、触れられずに倒せばよかろう?



「ふっ……!」



こちらを振り向くメガロヘラクレスへ一瞬で間合いを詰め、脚の関節を狙って【空風・突】を放つ。


関節に上手く当てたことにより、クリティカル判定と共にダメージエフェクトが弾ける。



けど硬い! 金属の塊を叩いてる感覚なんだけど!


クリティカル判定が出ているにも関わらず、攻撃したこちらの手が痺れそうなほどの衝撃が返ってきた。


実際発生したダメージエフェクトも大したものではなく、倒せるか不安になるレベルだ。



「まあでもそこはゲームだし。一発も受けずに死ぬまで殴れば勝てる!」


・脳筋すぎん?

・それができたらどんなモンスターでも倒せるのよ

・でもこの人ハクヤガミ相手にノーダメ耐久してるし



メガロヘラクレスは巨体であるが故、小回りが利かない。回避に特化しているうえ、装備でAGIが上がっている私に攻撃が当たる道理はないのだ。



突きを放ったモップを引き戻し、反転しながら【空風・打】を放つ。狙うはメガロヘラクレスの最も特徴的な部分である角だ。


角を壊せれば相手の攻撃力は激減だろう。


と思ったのだけど、風属性の一撃がヒットしたはずの角は、傷一つ付いていなかった。武器として使う部分なだけあって、その硬さも一級品のようだ。



「あわよくば角を部位破壊して素材獲得したいところだけど……これは骨が折れるわね」


「オォォォォッ」


「ふっ……!」



私のことが鬱陶しかったのだろう。木々を薙ぎ倒しながら横薙ぎに振るわれた角を、上体逸らしでその下を潜ると、再び反転しながら【空風・突】を放つ。



「ギィィッ!」



私の攻撃が目にヒットしたメガロヘラクレスから声が漏れる。ダメージ的には大したことは無かったが、部位が部位だけになかなか効いたのだろう。


続いて、突き込んだモップを支点に棒高跳びの要領で背中に飛び乗る。


メガロヘラクレス……というか昆虫は全体的にそうだが、背中側にまで脚は届かない。つまり、振り落とされるまでは攻撃し放題だ。



「私の攻撃手段が棒術だけと思わないことねっ!」



メガロヘラクレスの背中の凹凸に脚を引っ掻けて固定すると、すぐさまモップをインベントリに放り込み、代わりに『ヴィクトリアン・ナイフ』を2本取り出す。


【霧隠れの霊廟】から帰ってきた後、ダンサーとしても戦えるようにヘルメスに作ってもらった武器だ。


これも『ヴィクトリアン』シリーズであるためカテゴリースキルの効果量は据え置きであり、棒装備時のアビリティが使えなくなる代わりに短剣装備時のアビリティが解禁となる——!



「【シークエンスエッジ】!」



2本のナイフを振るい、羽の付け根に連撃を叩き込む。【シークエンスエッジ】は、スタミナが続く限り、強化されたナイフで連続で切り刻むアビリティだ。


その一撃一撃全てにクリティカル判定が適用され、クリティカル発生率と持続時間次第では、全てのアビリティの中でも上位のDPSを誇る。



「ギィィィィィイッ!!」


「うわっ!」



ピシッと音を立てて羽の付け根にヒビが入ると同時に、メガロヘラクレスは咆哮とともに羽を広げる。


マジ?

飛ぶ気?


その羽だけは置いてきな?



私は力強く開かれた羽に弾かれて宙を舞いつつ、【ヴィクトリアン・ナイフ】をインベントリにしまい、再び【ヴィクトリアン・スイーパー】を取り出す。


【魔纏・火】+【ピアースレイド】!


突きの動作と共にモップから放たれた赤黒いエフェクトが、【魔纏】によるオレンジっぽい光りを纏ってメガロヘラクレスの羽の付け根に突き刺さった。



【ピアースレイド】は、剣や槍、棒などを扱えるジョブで入手可能な、貫通効果を持つ中距離攻撃アビリティである。


相手がガードしていてもダメージが通るうえ、クリティカルで倍率補正が入る強力なアビリティだ。


数秒の拮抗の後、バキンッ!という破壊音とともに、メガロヘラクレスの羽が宙を舞う。



「部位破壊キタコレッ! 後は回収を……っ!」



おっと、メガロヘラクレスと目が合った。目が赤いんだけど、もしかしてお怒りですか?


地面に足ついてないと回避アビリティも使えないし、逆に向こうは角が健在なため、空中にいる私にも攻撃が届く。


……これ、やべぇな?



突き上げの予備モーションで頭を下げるメガロヘラクレスと、一か八かのパリィを狙う私。


大木すら薙ぎ倒すメガロヘラクレスの渾身の角撃が放たれる———



その直前、流星のように飛来した何かがメガロヘラクレスの身体を貫き、地面に激突して凄まじい砂埃を上げる。


一体何が……と、疑問を口にするまもなく、その正体はゲームアナウンスによって明かされた。



『レアエンカウント! ディアボロヴェスパ に遭遇しました!』

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[一言] オーガヴェスパの変異個体だ!レアドロ置いてけぇ!!
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