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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
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100万人記念特別コラボ配信! 13

評価・ブックマークありがとうございます!


 恐竜が跋扈するフィールドから一転して、ゾンビ達が大量発生するスプラッター的な展開が始まっている。


 突然始まったゾンビパニックにコメント欄も阿鼻叫喚だが、なかなかの盛り上がりだ。



 しかしまぁ、さすがはゾンビというべきか……私が胴体から真っ二つにしてもまだ動いているところを見ると、生命力は凄まじいようだ。ゾンビに対して『生命力』って言うのが正しいかは分からないけどね。


 だがそれでも、私達が負けることはない。だって、ゾンビだとかの『アンデット系モンスター』に特効を持つ、聖女・・のレリーシャさんがいるんだから!



「浄化いたします。安らかにお眠りなさい───」



 鈴の鳴るような声で言葉を紡ぎ、胸の前で両手を合わせたレリーシャさんを、暖かい光が包む。そして───



「ハッ……!」



 その光に握りしめるように拳を握ったレリーシャさんは、大きく足を踏み込んで目の前にゾンビへと拳を叩きつけたのだ……!



「ちょっ、待っ」


「力業過ぎないアルか?」


「浄化(物理)ですわ?」


 ・ぶん殴ったww

 ・知 っ て た

 ・浄化(物理)は草

 ・聖女より拳聖の色強すぎぃ

 ・周りのゾンビまで困惑顔になってるの草



 レリーシャさんにぶん殴られたゾンビは、大回転しながら文字通り吹っ飛び、数体のゾンビを巻き込んで壁に激突した後───ジュワッと音を立てて浄化され、灰になって消えていった。


 あっ、一応ちゃんと浄化は効いてるのね。



 さらにレリーシャさんは、ゾンビが無造作に振るってきた腕を潜って裏拳で吹っ飛ばし、噛みついてきたゾンビをアッパーで吹っ飛ばし……『ウルスマ』並の吹っ飛ばしアクションを展開してる。


 これよこれ!

 やっぱ『殴りシスター』はこうじゃないと!



「カローナ様! 後ろですわ!」


「聴こえてるわよっ……!」


「オ゛ォ゛ォ゛ッ……!」



 セレスさんの声が届くと同時、背後から迫るゾンビの動きを反響定位エコーロケーションで把握していた私は、地面に刺していたアンフィスバエナを踵で後ろに蹴り上げる。


 ドガッ! と小爆発によって加速したアンフィスバエナは一切抵抗なくゾンビをしたから斬り裂き、八文字に両断して見せた。



「もういっちょ!」



 ゾンビを斬り裂いた方とは逆の刃が地面に刺さると同時、今度はそれを横方向に蹴り抜く。


 再びの小爆破で加速したアンフィスバエナを、私を中心に回転させ、周囲のゾンビをまとめて両断して見せた。



「ありがとうセレスさん!」


「いえ、カローナ様にはいらない心配でしたわ……ねっ!」



 セレスさんもセレスさんで、久しぶりに『白銀の姫騎士レディ・オブ・プラチナ』装備に身を包み、レイピア二刀流でゾンビを斬り刻んでいる。


 密集地帯で大規模な魔法攻撃が躊躇われるとは言え、セレスさんには何も心配ないようだ。



「さて、と……」



 アンフィスバエナを振るってゾンビを粉砕しつつ、地面に転がる無数のゾンビ達に目を向ける。


 別にこのゾンビ達に何か感慨があるわけでもないけど……気になるのは、彼らの姿だ。


 骨格は人間とほぼ同じ。アネファンの中には『人間』のNPCはいないから、十中八九人間に近い何らかの種族なんだろうけど……


 ゾンビ故に残っている腐肉や見えている骨の一部に、ぎされた後があるように見えるのだ。


 普通は自然発生しないゾンビがこれだけ大量にいるっていう状況がそもそも怪しいのに、仮にホーエンハイムの『バイオファンタジア計画』のように人体実験とかしていたとしたら……


 この遺跡もまた、ろくでもない実験の舞台になっていた可能性が出てくる。


 ほんと、闇が深くないかなこのゲーム……。



「埒が明かないアル! こいつら無限湧きしてないアルか!?」


「カローナ様、脇道に入って一度離脱しましょう! 狭くはなりますが全方位囲まれるよりマシですわっ!」


「それならこっち! 比較的ゾンビが少ない道があるわ!」


殿しんがりは私が務めます、皆様は先にそちらの道へ!」


「レリーシャ様、頼みますわ! 脇道に入るとラビリ様の大鎌が使えなくなります、憂炎ユーエン様は彼女の守護を!」


「了解ある!」


「助かるぴょん!」



 私が周囲のゾンビを蹴散らして道を開けると、そこへ憂炎ユーエンさんとラビリちゃんが飛び込んでいく。


 続いてセレスさんが脇道へと入っていき、残るは私とレリーシャさんだけだ。


 かく言う私も、脇道に半分身体を入れながらレリーシャさんへと声をかける。



「レリーシャさん! 全員入ったからもう十分よ! ありがとう!」


「では仕上げです……!」



 レリーシャさんがインベントリから取り出したのは、普通のポーションよりも大きな瓶に入った液体。


 その瓶の口を手刀で叩き折ったレリーシャさんは、中の液体を周囲に撒き散らした。


 直後───



「「「「ゥ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」」」」



 その液体に触れたゾンビが地獄のような呻き声を上げながら一瞬で崩れ、灰となって悉く消えていく。



「レリーシャさん何それ!?」


聖女わたし特製の聖水です。アンデット系モンスターには効きますでしょう?」


「何ですって?」


 ・聖水(意味深)

 ・カローナ様、アウト

 ・おい止めろ。レリーシャちゃんがまるでおし───を撒き散らす変態みたいに……!

 ・聖水は聖水だから! 変な想像とかしてないから!

 ・俺もレリーシャちゃんに聖水ぶっかけられてぇ……

 ・嫌な顔されながらやられたい



「いや、私は何も言ってないからね? あんた達が変な想像してるだけよ! というかこのコメント、レリーシャさんにも見えてるんだからね!?」


「大丈夫ですよ、カローナ様。私はもう慣れてますので」


「慣れちゃダメなやつっ!」



 レリーシャちゃん、すでに悟りを開いた表情だ。きっと聖水使う度にこんな反応だったんだろうな……。


 Vの視聴者は変態ばっかりか?



お読みくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
いつからだろう、聖水がそんな扱いになったの…(遠い目
聖水って言われたらそりゃねぇw
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