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アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~  作者: 風遊ひばり
第七章 ~天地貫く太古の慟哭~
299/300

100万人記念特別コラボ配信! 12

評価・ブックマークありがとうございます!


 壁に空いたその穴から溢れ出た障気は、まるで随分と長い間怨みを燻らせていたかのように邪悪な気配を纏っていた。


 感じたことのないその気配に私やレリーシャさんは顔を顰め、ラビリちゃんに至っては小さく悲鳴を上げている。



「急に雰囲気変わりましたわね……」


「いや~~な感じがめっちゃするわ……」


 ・意外とホラー展開って初めてな感じするな

 ・確かに

 ・誰かさんが『モンスターを見てない』とかフラグ立てるから……



 視聴者さんの言う通り、ホラー的な……と言うか、心霊スポット的な気配を感じる。確実に出る(・・)と覚悟できるだけ、現実よりマシだけど……。


 この遺跡を作った者が、わざわざ隠し部屋や隠し通路を作ってまで分断しようとしていたぐらいだ。そこに潜んでいる何かを封じるために隠し部屋を作ったのか、それとも隠し部屋でその何かを生み出したのか……


 どちらにせよ、ろくでもない何かがいることが予想できる。



 ゴースト系のモンスターだったら最悪だなぁ……私、物理攻撃しか持ってないし。まぁ、もちろんここで引く気はないけどね。



「レリーシャさん、一応浄化系の魔法の準備を───」



 ガッ!



「えっ……?」


「あっ……」


 ・んっ?

 ・おっ

 ・ひぇっ



 私がレリーシャさんへ声をかけた直後、何かが壁にぶつかったような音が鳴り響く。その音が聞こえた方向───セレスさんが開けた穴の方へと目をやると……


 そこには、骨に灰黒色の肉を薄く張り付けたような、どう見ても生きている生物のモノとは思えない見た目の手が、穴の縁を掴んでいる光景があった。



 あー、なるほど。そういう感じ(・・・・・・)なのね。



 私が色々と察した頃、穴の縁を掴む手はどんどんと増えていき、そして穴の奥から生気のないどころか眼球の無い眼孔が現れ───



「【ホーリー・サクション】!」


「「「オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ッ!」」」



 レリーシャちゃんが放った浄化の光が辺りを照らし、穴から溢れ出したゾンビのようなモンスターが恐ろしい叫び声を上げてボロボロと崩れていく。


 何処からどう見てもゾンビです! ありがとうございました!




「ゴースト系じゃないだけマシね! 【変転コンバージョン】!」


「レリーシャ様、助かりますわ!」



 私は即座に『ドレッシング・エフェクター』を弾いて『冥蟲皇姫インゼクトレーヌ』シリーズに換装、【変転コンバージョン】でステータスを上げながら薙刀を構える。


 レリーシャさんの浄化・・のおかげで、一番最初に出ようとしていたゾンビ達はすぐに倒せたものの、我先にと穴から出ようとしているゾンビはまだまだ大量にいそうだ。


 だって呻き声がめちゃくちゃ聞こえてくるんだもん。



 だがしかし、物理攻撃が効くならこっちのものだ!

 【メタバーズ・ビジョン】、【ホライズン・ゲイザー】、そしてぇっ!



「【極量閃舞ごくりょうせんぶ】!」


「「「ギッ……!」」」



 まるでコマがいくつか飛んだかのような一瞬の間に、空中にアビリティエフェクトの軌跡を残して穴へと飛び込んだ私の周りで、刹那の空白の後───私の無数の攻撃を受けたことにようやく気付いたらしいゾンビ達が吹き飛んでぽっかりと空間が開いた。



「私が前線を押し返すから、みんな来て!」


「一人で突っ込むのはリスク高いアルよ!」


「カローナ様らしいと言えばカローナ様らしいですけど……!」



 アビリティを放った後の硬直中、当然モンスターは待ってくれない。吹き飛ばされた者を押し退け、斬り倒された者を踏み越えて私へ迫ってくるゾンビ達が多数。


 もちろん想定内───というか、遅い!



 『ドレッシング・エフェクター』をワンタップ。私の身体が光に包まれ……直後、尋常ではない膂力で数体のゾンビがまとめて吹き飛ばされ、その風圧だけでさらに後方のゾンビすら一瞬足を止める。


 ふふふ、『ゴールデンアヴィス』を身に着けた私のアンフィスバエナの薙ぎ払い、受けられると思ったら大間違いよ!



「よい……しょおっ!」


「「「「ウ゛ォ゛オ゛ッ」」」」



 アンフィスバエナを振り下ろし、それを蹴り飛ばして勢いをつけて薙ぎ払い、その勢いを止めぬままグルリと一回転して再び叩きつける。


 セレスさん達が穴の中に飛び込んできた頃には、グルングルンと回転しながら竜巻のようにアンフィスバエナを振り回し、近づくゾンビを悉く吹き飛ばす私の姿があった。



「やっぱあの装備強すぎるアルなぁ……」


「私の浄化よりカローナ様が殴る方が早いのでは?」


「カローナ様、わたくし達も近づけないのでほどほどに……」


「これ重いからなかなか止まらないのよぉっ……!」



 でも、どう考えてもこれが最効率なんだよね……ゾンビは何も考えずに近づいてくるみたいだし、アビリティも使わずに振れれば一撃だもん。


 あー、でもなんか目が回って来た。



「ふっ……!」



 地面と水平に回転していたところに捻りを加え、軌道を斜めにしてその勢いのままジャンプ! 空中で体勢を整え、斜めから縦に軌道を変え───


 思いっきり叩きつける!



 ズドォォォォンッ!


 爆発もかくやという轟音と共にアンフィスバエナが地面へと叩きつけられ、周囲のゾンビ達を巻き込みながら地面を砕く。


 凄まじい衝撃が私にもビリビリと伝わってくるも、『ゴールデンアヴィス』の衝撃抑制はかなりの高性能だ。私にダメージは無く、一方的にゾンビを屠るのみ。



 ふぅ、やっと止まった……ちょっと休憩……って言ってる場合じゃないか。ゾンビはまだまだ無数に湧いてきてる。


 けどまぁ、みんなも準備OKみたいだし、このまま殲滅しましょうかね。


お読みくださってありがとうございます。

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